ニュースレター登録

家計

勤務先に財形貯蓄制度がある場合、利用すべきか考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。「自動的に貯金が増えるイメージがあるけれど、具体的にはわからない」「資産形成方法としていいのかどうか」など、いろいろな点で悩んでしまいかねません。

そこで本記事では、財形貯蓄の概要と、財形貯蓄のメリット・デメリットをご紹介します。財形貯蓄について理解できると、自分が利用すべきかどうかを適切に判断できます。

財形貯蓄だけで資産形成をすることは難しいかもしれません。しかし、財形貯蓄は着実にお金を貯められる金融商品です。財形貯蓄をうまく活用することで、堅実に資産を蓄えることができます。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

財形貯蓄とは給与天引きの貯蓄

財形貯蓄とは、勤務先で行われる給与天引きの貯蓄です。正式には「勤労者財産形成貯蓄制度」と呼ばれています。勤務先が提携している財形取扱金融機関と契約すると、勤務先が勤労者本人の代わりに、給与天引きで貯蓄を行ないます。

財形貯蓄は55歳未満の勤労者が利用できる制度です。ただし、次項で紹介する一般財形貯蓄に関しては年齢制限はなく、55歳以降でも開始可能です。財形制度取扱金融機関には、銀行のほか証券会社や、生保会社、損保会社等がありますが、勤務先によって提携金融機関が異なります。

財形貯蓄は、勤務先に財形貯蓄がある勤め人だけが利用できる制度であり、自営業者や勤務先に財形貯蓄がない人は利用できません。制度が利用できる人は、給与天引きで貯金できるため、貯金に苦手意識がある方でも確実にお金を貯められます。

財形貯蓄の種類は3つ

財形貯蓄には、次の3種類があります。

  1. 一般財形貯蓄
  2. 財形年金貯蓄
  3. 財形住宅貯蓄

貯金の使途や非課税メリット等、それぞれに違いがあるため、以下で詳しくご説明します。

①一般財形貯蓄はフリーに利用できる

一般財形貯蓄は、貯めたお金の使途に制限がなく、自由に利用できます。ショッピングや旅行の代金、車の購入費、引っ越し代、結婚式の費用等、何にでも使えます。原則3年間以上積み立てますが、1年経過後は自由に引き出せるので、不便さは感じないでしょう。

利用への年齢制限がないため、望めば長く利用できます。後述する財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄との併用も可能です。ただし、貯金への利子に対して約20%課税されるため、非課税メリットはありません。

②財形年金貯蓄は満60歳から受け取れるので老後の備えに

財形年金貯蓄は名称のとおり、老後の年金づくりを目的とした貯蓄です。「貯蓄を開始できるのは55歳未満」という年齢制限があり、満60歳から年金として受け取れます。

公的年金の受給が65歳開始であるため、財形年金貯蓄による年金を60歳から受給できると、年金受給までの間の生活費の足しにできます。受け取り方法は、定額型と逓増型、前厚型から自分に合った方法をお選びください。

また、一般財形貯蓄および財形住宅貯蓄との併用も可能です。財形住宅貯蓄との合算で550万円までは利子が非課税になるという、税金面での優遇措置も受けられます。

③財形住宅貯蓄はマイホームの備えに

財形住宅貯蓄は、マイホームの建設や購入の費用、および増改築等のリフォーム費用のために貯蓄します。取得する住宅は、新築と中古のいずれも対象であり、戸建てかマンションかも問いません。

原則として5年以上積み立てますが、条件を満たす住宅を取得する場合は5年未満でも払い出しが可能です。ただし、貯蓄開始は55歳未満と限定されています。

一般財形貯蓄および財形年金貯蓄との併用が可能であり、財形年金貯蓄との合算額が550万円以内なら利子が非課税です。財形住宅貯蓄のみを利用する場合も、550万円までの貯蓄額の利子が非課税になります。

財形貯蓄の4つのメリット

「財形貯蓄に3種類あるとわかったけれど、具体的なメリットは何なのか」と疑問をお持ちかもしれません。財形貯蓄を活用するメリットは、次の4点です。

  1. 給与から天引きされるので自動的に先取り貯金が可能
  2. 住宅用、老後用の貯金を堅実に確保できる
  3. 財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は550万円までの利子が非課税
  4. 財形持家融資制度を利用できる

どのようなメリットなのか、それぞれについて以下でご説明します。

①給与から天引きされるので自動的に先取り貯金が可能

財形貯蓄は、給与から天引きされるため自動的に先取り貯金ができます。たとえば「毎月1万円とボーナスから年間8万円」という設定で10年積み立てると、元金だけで200万円貯まります。いったん設定すると自動的に天引きされるため、貯金の苦労を感じません。

ストレスフリーでまとまった金額を貯められるため、貯金に苦手意識がある方にもおすすめの方法です。「手元にお金があると、つい使ってしまう」という場合でも、給与が振り込まれる段階で既に貯蓄として天引きされているため、罪悪感なく使えます。

また、使途が自由な一般財形貯蓄であっても、貯蓄を引き出すために会社や金融機関への申請手続きが必要なので、無計画な支出を避けられます。

②住宅用、老後用の貯金を堅実にできる

財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄を活用することで、住宅用や老後用の貯金を確実に積み立てられます。住宅購入費や老後資金は、貯めておかなければいけないとわかっていても、つい目先のことに使ってしまいがちです。

「老後資金のつもりだったけれど、やっぱり今ヨーロッパ旅行に行きたい」など、お金があると使いたくなります。財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄なら、貯蓄目的が明確であり、使途が限られているため、堅実に目標に向かって貯められます。

③財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は550万円までの利子が非課税

財形貯蓄のうち、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、貯蓄額550万円までの利子が非課税になるという、税制面の優遇措置を受けられます。普通に銀行に預金していると、利子に対して約20%の税金がかけられるため、これらの財形貯蓄はお得だといえるでしょう。

また、財形年金貯蓄の場合は、満60歳から年金として受け取る時も非課税措置が続きます。財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の非課税メリットを活用すると、より効率よくお金が貯まります。

④財形持家融資制度を利用できる

3種類の財形貯蓄のうちいずれか1つでも利用していると、「財形持家転貸融資制度」を利用できます。財形持家転貸融資は、比較的低金利で長期融資を行なう公的住宅ローンです。財形貯蓄を1年以上継続し、50万円以上の残高がある方が対象の制度です。

残高の10倍以内(最高4,000万円)、かつ実際にかかる費用の90%相当額の融資を受けられ、住宅取得費やリフォーム代にあてられます。銀行などの住宅ローンの金利も確認し比較したうえで、この制度を利用するかどうかご検討ください。

この財形持家転貸融資は勤務先会社を通した融資になるため、個人で銀行の住宅ローンを申し込むよりもハードルが低くなる可能性もあります。
 

この記事の内容の他にも、「お金が貯まる29の知恵」を1冊にまとめました。
今ならLINE登録するだけで、無料でプレゼントしています。
この機会に是非一度LINE登録して、特典を今スグ受け取ってください。

財形貯蓄の4つのデメリット

「財形貯蓄はメリットがいっぱいだから、今すぐ始めよう」とお思いかもしれませんが、財形貯蓄にはデメリットもあります。次の4点です。

  1. 金利が他の金融商品に比べ低い傾向にある
  2. 他の財形商品へ変更ができない場合がある
  3. 転職先に財形貯蓄制度がない場合は非課税の恩恵が受けられない
  4. 元本割れリスクがある

デメリットも知ったうえで制度を利用することが、後悔をしない資産形成につながります。

それぞれのデメリットについて、以下でご紹介します。

①金利が他の金融商品に比べ低い傾向にある

財形貯蓄の金利は、他の金融商品に比べて低い傾向にあります。勤務先が提携する金融機関によって金利は異なるものの、0.1%以下の場合が多いです。たとえば、三菱UFJ銀行の令和2年5月6日現在の財形貯蓄の金利は、定期預金型で0.002%です。

財形貯蓄はあくまで自動的な先取り貯金が魅力であり、運用益はあまり期待できないとお考えください。

②他の財形商品へ変更ができない場合がある

財形貯蓄には、金融機関によっては預金以外にも投資信託や保険など、様々な財形商品がある場合があります。しかし、いったん契約すると他の財形商品へ変更ができない場合があるため、注意が必要です。

一般財形貯蓄の場合は、3年以上財形貯蓄を保有すると、別の金融機関の財形商品に預け替えが可能です。しかし、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、保有期間を問わず、別の金融機関の財形商品への変更はできません。
 

③転職先に財形貯蓄制度がない場合は非課税の恩恵が受けられない

財形貯蓄を始めて以降、同じ勤務先にずっと在職する場合はともかく、転職した場合には想定外の事態になるかもしれません。転職先に財形貯蓄制度がないと、一定期間を超えた後に強制解約されてしまいます。

財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は強制解約されて残高が払いだされると、いずれも用途外の引き出しに該当するため、利子への非課税が適用されません。財形貯蓄の税制面のメリットを失うことになります。

④元本割れリスクがある

財形貯蓄として選べる財形商品には、定期預金以外にも保険や投資信託があります。保険や投資信託の場合は、元本割れのリスクがあることを知っておきましょう。

保険の場合は、積み立てを始めてから早期に解約すると元本割れする可能性が高いです。また、投資信託の場合は市場の変動等によって運用に失敗することもあります。

定期預金には、元本割れはありません。勤務先で選べる財形商品に複数の種類がある場合、元本割れのリスクを考えたうえで、財形商品をお選びください。
 

まとめ:財形貯蓄は堅実な貯金が可能!資産形成のほかの選択肢も視野に入れて考えよう

財形貯蓄に関してご紹介しました。天引きによって自動的に先取り貯金ができるため、堅実にお金が貯められます。住宅用や年金用など用途別に貯蓄を行なえるため、貯金目標を達成しやすいです。また、財形貯蓄の種類によっては税制優遇措置を受けられます。

しかし、財形貯蓄は金利が概して低く、種類によっては財形商品を自由に変更できないというデメリットもあることをご留意ください。また、現代は超低金利時代のため、財形貯蓄だけでは資産形成は難しいです。

貯蓄商品と運用商品をバランス良く組み合わせて、財形貯蓄だけではなくiDeCoやNISA、つみたてNISAの制度もあわせて活用してはいかがでしょうか。堅実な財形貯蓄と低リスクの運用の両輪で、効率よく資産形成が行なえます。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

CONTENTS 注目のコンテンツ

THIS WEEK’S RANKING 今週の記事ランキング