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家計

大学等に進学する学生の中には奨学金を利用する人もいるでしょう。奨学金を利用する際は、返済できない場合を想定し「機関保証」か「人的保証」どちらかの保証制度を選択する必要があります。

本記事では奨学金の保証制度について解説します。利用条件や返済が延滞した場合の取扱いは保証制度ごとに異なるため、奨学金を利用する前に必ず理解しておきたい内容です。

保証制度を正しく理解し、より適した保証制度を選択しましょう。

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奨学金における保証制度は2種類

奨学金の借主は学生本人ですが、奨学金の利用申請時は学生のため、学生本人の返済能力そのものを審査することはできません。希望者は奨学金を利用できる一方で、学生が卒業後に返済できなくなった場合を想定して「保証」が必要です。

保証制度には「人的保証制度」「機関保証制度」の2種類があり、奨学金の申請時にいずれかの保証制度を選択しなければなりません

「人的保証制度」は保護者や親戚が返済責任を負う制度で、「機関保証制度」は保証機関が連帯保証し、奨学金貸与中は毎月決められた保証料の支払いが発生する制度です。

奨学金の申し込み時は、学生や家族の状況に応じて利用しやすい保証制度を選びましょう。なお、第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)と第二種奨学金(海外)に申し込む際は「人的保証制度」と「機関保証制度」の双方の保証が必要です。

機関保証制度の概要や手続きを解説

奨学金の保証制度のうち、公益財団法人「日本国際教育支援協会」が保証機関となって連帯保証するものが機関保証制度です。連帯保証人や保証人を立てることなく、学生自らの責任において申し込みができます

兄弟・姉妹や親戚と疎遠な場合、連帯保証人の選定が難しい場合などには機関保証制度を選択すると良いでしょう。制度の詳細を以下で解説します。

機関保証制度活用の条件

機関保証を選択した場合は一定の保証料を支払います。しかし、保証料を支払っているからといって奨学金を返済しなくても良いということではなく、奨学金を貸与された学生本人が必ず返済しなくてはなりません。

また、本人の連絡先に加えて本人以外の連絡先も忘れず届け出る必要があります。

申し込み方法

在学している学校を通じて奨学金に申し込む際に機関保証制度を選択します。連帯保証人などの選定は不要で、奨学金の利用が決まった際に保証依頼書返還誓約書を提出します。

返済が延滞した場合

期日までに奨学金が返済されなかった場合、日本学生支援機構の請求によって保証機関が学生本人に代わって奨学金を支払います。これを代位弁済といい、その後、保証機関が学生本人に奨学金の未返済額と延滞金等の合計額を一括で請求します。また、保証機関からの請求に応じない場合は財産や給与の差し押さえ措置が取られる点には注意が必要です。

なお、奨学金の返済が延滞した場合は、個人信用情報機関に延滞情報が登録されるため、速やかに返済しましょう。

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人的保証の概要や手続きを解説

奨学金を利用する際に、一定の条件を満たす連帯保証人・保証人が保証する制度が人的保証制度です。人的保証制度を選択し仮に学生本人が返済できなくなった場合、連帯保証人・保証人が学生に代わって返済する義務を負います。

なお、人的保証を含め奨学金の保証制度についてはこれまで何度も議論されています。現状は人的保証のほうが奨学金の回収率が良いものの、今後は少子高齢化に伴って連帯保証人や保証人の選定が難しくなると予想されているのが現状です。そのため、将来的には機関保証への重点化を図ることが議論されており、今後も慎重な検討が必要だと言われています。

人的保証は連帯保証人・保証人の選定が必要ですが、機関保証とは違って保証料がかからないメリットがあります。機関保証との違いを確認し、より適切な保証制度を選びましょう。

連帯保証人の条件

連帯保証人は学生本人と一緒に返済の義務を負う人で、父母を選ぶことを原則としています。連帯保証人は以下の全ての条件を満たす必要があります。

  1. 奨学生本人が未成年者の場合は、その親権者(親権者がいない場合は未成年後見人)であること
  2. 奨学生本人が成年者の場合は、その父母。父母がいない等の場合は、奨学生本人の兄弟姉妹・おじ・おば等の4親等以内の親族であること
  3. 未成年者および学生でないこと
  4. 奨学生本人の配偶者(婚約者を含む)でないこと
  5. 債務整理中(破産等)でないこと
  6. 貸与終了時(貸与終了月の末日時点)に奨学生本人が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること

保証人の条件

学生本人と連帯保証人が返済できないときに保証人は代理で奨学金を返済します。おじ・おば・兄弟姉妹を選定することが推奨されています。保証人は、以下の全ての条件を満たすことが求められます。

  1. 奨学生本人および連帯保証人と同一生計でないこと
  2. 奨学生本人の父母を除く、おじ・おば・兄弟姉妹等の4親等以内の親族であること
  3. 奨学金の申込日時点で65歳未満であること。また、申込後に諸般の事情により保証人を変更する場合は、その届出日時点で65歳未満であること
  4. 未成年者および学生でないこと
  5. 奨学生本人または連帯保証人の配偶者(婚約者を含む)でないこと
  6. 債務整理中(破産等)でないこと
  7. 貸与終了時に奨学生本人が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること

保証機関が一時的に奨学金を代位弁済してくれる機関保証と異なり、人的保証は学生が返済できなくなった場合に、学生に代わって必ず奨学金を返済することができる人を選定しなければなりません。そのため、連帯保証人・保証人共に細かな条件が設定されています。

申し込み方法

連帯保証人と保証人をそれぞれ1人ずつ選んだ上で、在学中の学校を通じて奨学金に申し込みましょう。奨学金の貸与が決定すると、連帯保証人は印鑑登録証明書と収入に関する証明書、保証人は印鑑登録証明書を提出します。

また、連帯保証人と保証人の自署と押印を済ませた返還誓約書も併せて提出します。

返済が延滞した場合

学生による奨学金返済が延滞した場合、連帯保証人に奨学金の返済が請求されます。さらに、連帯保証人も返済できない場合は保証人に請求され、保証人が返済しなければなりません。

機関保証を選択した場合と同じく、奨学金の返済延滞時は個人信用情報機関に延滞情報が登録され、各種ローンの利用時に制限が生じる可能性があります。なお、情報の登録後に延滞が解消された場合は、延滞が解消されたという情報が登録されます。

このような事態を避けるためにも、奨学金は延滞なく返済することを念頭に置いて利用しましょう。

保証制度を選ぶ際の3つの注意点

奨学金の保証制度は、奨学金完済まで原則として変更できません。そのため、安易に保証制度を選択することは避け、卒業後の奨学金返済期間や金額を含めて検討する必要があります。保証制度の変更を含め、保証制度を選ぶ際の3つの注意点を解説します。

注意点1:保証制度を途中で変更できないことも

奨学金の申請時に機関保証制度か人的保証制度のいずれかを選択しますが、原則として一度選択した保証制度を変更することはできません。特に機関保証制度から人的保証制度への変更は不可である点には十分注意しましょう。

また、人的保証制度から機関保証制度への変更は、保証人が死亡・破産した場合など、特別な場合のみです。そのため、双方の保証制度の概要を正しく理解し、奨学金の完済を見据えた上で保証制度を選択しましょう。

注意点2:機関保証は保証料がかかる

機関保証の場合、保証料が必要です。毎月の保証料は奨学金の月額貸与額から差し引かれます。これにより、完済までの返済総額を保証機関が保証してくれます。例えば、有利子である第二種奨学金を利用する大学生で、貸与月額が20,000円、貸与期間が12ヶ月のとき、2021年度の保証料は月額387円です。

保証料は貸与期間が長くなるにつれて高くなるため、機関保証制度を選択する場合は奨学金の貸与期間についても検討する必要があります。保証制度を選択する場合には保証料の有無という観点で検討してみるのも良いでしょう。

注意点3:機関保証を利用しても返済義務はある

機関保証の利用時に学生本人の返済が延滞した場合、保証機関が代わりに奨学金を返済してくれますが、学生本人の返済義務がなくなるわけではありません。

保証期間による代位弁済が行われた場合、学生本人は奨学金の残りの金額を一括で請求されます。代位弁済額の返済も滞納すると、年10%の遅延損害金が加算されますので、結果として返済すべき金額が増えます。

奨学金を計画的に返済できるよう、返済方法にも留意しましょう。

まとめ:奨学金利用時は適切な保証制度を選択して延滞なく返済しよう

今回は奨学金利用時に選択する保証制度について解説しました。それぞれの制度の特徴を正しく理解し、適切な保証制度を選択する必要があります。

また、奨学金の返済が延滞すると、個人信用情報機関に延滞情報が登録され、その後のローン利用時などに大きな影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

無理なく返済できるよう、貸与額や貸与期間、返済方法を考慮した上で奨学金を利用しましょう

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