生命保険の必要保障額とは、一般的には、遺族が必要とするお金から遺族の収入を差し引いた金額が目安です。しかし、実際にはどのくらいの保障額が必要なのかわからない人も多いでしょう。
この記事では、生命保険の必要保障額の計算方法、見直す時期、死亡時に必要になる費用、子どもの教育費用などについて詳しく解説します。また、不動産投資を始めとする生命保険以外でお金を蓄える方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
生命保険を選ぶときに考える「必要保障額」とは?
必要保障額とは、簡単にいえば亡くなった後に遺された家族が安心して暮らしていくために必要となる金額です。家族のなかで家計を支えている人が亡くなった場合、遺された家族が生活するためにまとまったお金が必要となります。そのため、今後の生活などをしっかりとシュミレーションして、必要保障額がどのくらい必要なのか話し合うことが重要です。
生命保険加入前に調べよう!自分に必要な保障額の算出方法
生命保険の加入前に、どのくらいの保障額が必要になるのか調べておきましょう。必要保障額の算出方法は、「遺族が必要とするお金(支出)-遺族に入ってくるお金(収入)」です。支出から収入を差し引いた分が足りない金額となるため、生命保険に加入する際にはこの金額がまかなえるかどうかをしっかりと確認しましょう。
実際に計算してみよう!
具体的な例を挙げて実際に計算してみましょう。共働きで夫37歳・妻35歳・子ども0歳の3人家族だと仮定します。年収が600万円、生活費と家賃が月に15万円ずつ、貯蓄は500万円です。妻が87歳まで生きると仮定し、子どもは幼稚園から大学まですべて国公立として計算してみます。
妻の生活費は「現在の生活費×0.5×余命」、「子どもの生活費は現在の生活費×0.2×(22歳-末子の年齢)」で計算します。
そこから算出すると、生活費はあわせて5,472万円、教育費は約1,079万円、住居費が7,200万円(子どもが独立後の22年間は現在の60%の住居費と仮定)、葬儀関連費用が約200万円で、支出はおよそ1億3,951万円です。
収入は、妻の収入が月8万円で60歳まで働くと仮定し2,400万円、それに遺族年金や貯蓄などをあわせて1億833万円です。この場合、「1億3,951万円-1億833万円」で求められるため、必要保障額は3,118万円になります。
ライフステージによって必要保障額は変化する!必要になるお金とは?
ライフステージによって必要保障額は変化します。ここでは、必要保障額を見直すタイミング、どのようなお金が必要になるのかを説明します。
必要保障額を見直すタイミングは?
必要保障額を見直すタイミングはいくつかあります。
結婚
結婚するということは守るべき存在が増えるということです。自分が亡くなった後もパートナーを支えるためのお金が必要となります。
出産
子どもが生まれればパートナーだけではなく子どもの生活や教育費などをまかなう必要があるため、生命保険の契約や必要保障額の大幅な見直しが求められます。
住宅の購入
住宅購入のために金融機関で住宅ローンを組んだ場合、団体信用生命保険に加入することが一般的です。加入者が亡くなった場合、団体信用生命保険によって住宅ローンが返済されるため、必要保障額は減少します。
子どもの成長
子どもが成長していけば教育費や生活費などの総額は減少していき、比例して必要保障額も減少します。
子どもの独立
子どもが独立すれば、基本的には子どものための支出がなくなります。保険加入時とは状況が大きく変化しているため、見直しを図りましょう。
どんなお金が必要になる?
死亡後はどのようなお金が必要になるのでしょうか。
死亡整理金(葬儀費用・お墓代など)
死亡整理金とは、葬儀費用や墓地代、墓石代などのことを指します。葬儀費用は家族のみで行うのか、それとも大規模に行うのかによって変動します。墓地代や墓石代も同様です。
遺族の生活費
一家を支えている大黒柱に万が一のことがあった場合、遺された家族が変わらない生活を続けていくためには毎月一定の金額が必要です。たとえば、食費や水道光熱費、日用品、通信費などさまざまな費用がかかります。この金額は、共働きかどうか、子どもの人数などによって変動します。
住居費
住宅を購入する際に団体信用生命保険に加入していた場合、ローンは保険金で返済されるため固定資産税や修繕費などで済みます。賃貸の場合は今までと同じところに住むのか、それとも引っ越すのかによって住居費は大きく変わるでしょう。
子どもの教育費
子どもの教育費は、子どもの年齢や人数によって異なります。教育費の目安については、次の段落で詳しく紹介します。
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必要保障額を計算するための教育費の目安
幼稚園から大学卒業までどのくらいの教育費が必要になるか、公立と私立にわけて紹介します。文部科学省の発表によると、平成30年度の幼稚園から高校までの教育費相場(学習費総額)は以下の通りです。
・公立幼稚園:22万3,647円
・私立幼稚園:52万7,916円
・公立小学校:32万1,281円
・私立小学校:159万8,691円
・公立中学校:48万8,397円
・私立中学校:140万6,433円
・公立高校:45万7,380円
・私立高校:96万9,911円
次いで、大学卒業までの教育費を紹介します。日本政策金融公庫の令和2年発表分によると以下の通りです。
・国公立大学:499万4,000円
・私立大学文系:717万円
・私立大学理系:821万7,000円
このように、公立と私立どちらを選ぶかによって教育費の相場は大きく異なります。
※参考:平成30年度子供の学習費調査の結果について|文部科学省
※参考:令和元年度「教育費負担の実態調査結果」|日本政策金融公庫
生命保険以外で万が一にお金を備えておける方法は?
生命保険だけでは、必要保障額をまかなえない可能性があります。家族が安心して暮らしていけるだけのお金を蓄えたいと考えているのなら、生命保険だけでなく不動産投資などをセットで行うといいでしょう。また、それ以外にもお金を備えておける方法があります。ここでは、不動産投資をはじめ、生命保険以外でお金を備える方法をいくつか紹介します。
不動産投資
不動産投資とは不動産を購入して第三者に貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。不動産投資のメリットはローンを利用して投資できることです。株式投資やFXなどは自己資金をある程度用意しなければいけません。しかし、不動産投資の場合は、ローンを組むことができるため資金に余裕がなくても始められます。
また、ローンを組む際には団体信用生命保険に加入するため、万が一加入者が亡くなったり大きな後遺症の残る事故にあったりしても、保険でローン残高の返済が可能です。ローンの心配がなく不動産を家族に残せるため、生命保険代わりにもなります。
安定した収入が得られることも良い点です。物件が空室にならない限り、家賃として毎月安定した収入が得られます。ローン返済が完了すれば、私的年金としての活用も可能です。老後の生活に不安を抱えている人も多いでしょう。不動産投資は家賃収入として毎月一定の金額が得られるため、年金の足しにできます。
個人年金保険
個人年金保険とはその名の通り、公的年金のほかに個人で積み立てる形式の年金保険です。契約時に定めた時期になると、積み立てた金額を年金もしくは一時金として受け取れます。
個人年金保険のメリットは、所得控除が受けられることです。生命保険料控除の中には、個人年金保険料控除があるため住民税や所得税が軽減され、節税につながります。
また、貯蓄をしながら万が一に備えられることもメリットです。個人年金保険は契約すると年金受給まで保険料を支払わなければいけません。しかし、万が一死亡してしまった場合、基本的には今まで払い込んだ保険料の相当額が受け取れます。万が一のことがあった場合でも保険料が無駄にならず、何もなければ老後に向けて計画的に貯蓄できるのです。
確定拠出年金
確定拠出年金は「iDeCo(イデコ)」とも呼ばれています。毎月資金を積み立ててそれを定期預金や保険、投資信託などで運用する私的年金で、個人型と企業型の2種類にわけられます。
確定拠出年金のメリットは、税制優遇措置が非常に充実していることです。掛金については全額所得税控除の対象で、運用することによって得られる利息や配当金といった運用益も全額非課税です。給付されるときには、年金もしくは一時金として受け取れます。年金なら公的年金控除、一時金なら退職所得控除を適用できるため、住民税や所得税の軽減につながります。
運用商品のコストが低く運用商品の種類も多いため、自分にあったものを選びやすいこともメリットです。複数の商品が選べ、後から割合を変えることも可能です。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めた資金を運用の専門家であるファンドマネージャーがさまざまな商品に投資・運用する金融商品です。投資信託のメリットは少額からでも始められることです。投資信託の多くは1,000円から1万円といった少額から購入できます。100円から投資できるものもあり、資金が少なくても気軽に始められるでしょう。
ファンドマネージャーが運用してくれるため、特別な知識がいらないこともポイントです。投資の知識やコツなどを勉強しなくても運用可能で、誰でも始めやすいことは大きなメリットです。また、投資信託では複数の銘柄に投資する「分散投資」が行われています。そのため、値下がりといったリスクが分散でき、大きな損を負う可能性が低くなります。
まとめ
遺された家族が安心して過ごすためには、生命保険の必要保障額がどのくらい必要なのかシミュレーションしておくことが重要です。さまざまな費用が必要になるため、生命保険の必要保障額だけでは足りないケースもあるでしょう。遺族にしっかり資産を残したいなら、資産形成について考えることもおすすめです。