「100万円の余剰資金で資産運用をしたいけど、100万円で何かできるだろうか」「資金が減らないようにしながら、効率的に増やせるだろうか」と不安に思っている方も多いでしょう。
結論、100万円の余剰資金がある場合は、資産運用をするのがおすすめです。しかし、資産運用はリスクもあるため、基本的な知識は備えておく必要があります。
本記事では、100万円を資産運用で効率よく増やす方法の他、注意点について解説します。
最後まで読み、自分に合った資産運用の計画を立てましょう。
100万円の資産運用の始め方
100万円の余剰資金を使った資産運用の始め方は、以下のような手順です。
- まずは資産運用を始める目的・目標金額を設定する
- 資産運用の種類を選択する
- ポートフォリオを作成する
- 口座を開設し資産運用を開始する
ではそれぞれ見ていきましょう。
まずは資産運用を始める目的・目標金額を設定する
<h3>まずは資産運用を始める目的・目標金額を設定する</h3>
まずはじめに、資産運用を始める目的を設定して、その目的を達成するためにはどれくらいの金額を目指すか設定しましょう。
これから迎える人生のイベントを思い浮かべて、どのイベントのときに必要な費用の足しにしたいのか、運用目的を決めてください。
たとえば、自家用車や住宅の購入費や子供の教育費、老後資金の形成などの費用の足しにするということがよく挙げられます。
そして、その目的のためには元手の100万円をどれくらいまで増やしたいのか目標を決めましょう。そのイベントを迎える時期から逆算して、「どのような金融商品を買うか」「どれくらいの期間運用するか」などを決めなければなりません。
資産運用の種類を選択する
資産運用をする対象の金融商品の種類を選択しましょう。
金融商品には、その安全性や流動性、収益性の高低が異なるさまざまな種類が存在します。損失が発生する可能性、自由に現金化できるか、利益が発生する場合の大きさなどの程度がそれぞれ違うということです。
代表例は、普通預金、定期預金、外貨預金、債券、株式、投資信託です。
最初に設定した目標金額に想定通りに進めば届くように、これらの金融商品の中から種類を選んで投資してください。大きな痛手にならないようにするためには、「もし損失が生じたときにはどこまで許容できるか」という観点も念頭に置いて選ぶのが肝要です。
ポートフォリオを作成する
安定した資産運用を行うためにポートフォリオを作成して投資しましょう。
ここで言うポートフォリオとは、どの金融商品にどれくらい投資するかを決めた保有資産の組み合わせのことです。同じ商品にだけ投資してしまうとその商品の価値が下落すると大きな損失になってしまうので、分散させる必要があります。
一般的には、運用期間が長くなればなるほど、「利益と損失どちらが生まれるか」の不確実性が高い商品を積極的に運用可能になります。もっとも、ポートフォリオ全体としてのリスクを低くするために、値動きの傾向の異なる商品もおりまぜるのがおすすめです。
運用期間と目標額によって、投資する金融商品の種類、どの国の金融商品かをバランスよく配分してポートフォリオを完成させましょう。
口座を開設し資産運用を開始する
では、いよいよ口座を開設して資産運用を開始しましょう。
ポートフォリオを作成できれば、実際に銀行や証券会社、保険会社などの金融機関で口座を開設する手続きに入ります。
実店舗のある証券会社では窓口で相談できるというメリットがあります。もっとも、自分で細かい判断はできるので相談は不要な場合には、手数料の少ないネット証券会社で口座を開設するほうが適切です。どこなら自分が納得して資産運用ができるか考えて、口座開設する会社を決めてください。
口座が開設できたら、投資費用をそこに入金します。購入する金融商品を決めて、対面もしくはインターネット上で注文すれば運用の開始です。
100万円でできる効率の良い資産運用とは?
100万円を資産運用する際の、効率の良い資産運用方法は以下の6つです。
- 株式投資
- 投資信託
- 外貨預金
- REIT
- ETF
- 定期預金
株式投資や投資信託などで資産運用をすることで、効率よくお金を増やすことが期待できます。ただし、定期預金に関しては確実性は高いものの効率は良くありません。
詳細を見ていきましょう。
株式投資
株式投資は、株式会社が事業のための資金調達のために発行する出資証券である株式を購入し、その値動きの差で資産運用をする方法です。
株式は需要と供給により株価が決まり、より安い金額で購入し、より高い金額で売ることが基本的な取引となります。
他の運用方法と比較すると、株価の変動率は高い傾向にあります。
株式投資は自分自身で企業情報やニュースを調べ、投資する企業を選ばなければいけません。元本割れする可能性も高く、株式発行元の会社が倒産すれば株式の価値は0円になります。
効率よく運用するためには、ある程度のお金と、株式に関する基本的な知識が必要です。
投資信託
投資信託とは、投資家から調達した資金を、資産運用の専門家が運用し、運用結果を投資家に分配する運用方法です。各投資家の投資額に応じて、運用結果が分配されます。
個人ではなく会社に所属するプロが運用するものの、収支がマイナスになる可能性も0ではありません。マイナスになったとしても、運用結果は投資家に帰属することになります。
また、投資信託の商品により、国内株式、米国株式、インド株式、全世界株式など運用方針が決まっています。専門知識のあるプロに運用を任せるため、初心者だとしても初歩的な知識があれば資産運用が可能です。
運用を任せるための手数料がかかるため、各商品ごとの手数料を確認しましょう。購入時の手数料がかからない、ノーロードと呼ばれるファンドもあります。
外貨預金
外貨預金とは、手元にある円を外貨に替えて預金する方法です。以前は外貨定期預金が一般的でしたが、現在は普通預金を外貨に替えて預ける外貨普通預金や、期間の定めのない預金であり、据置期間は原則として払戻しの要求に応じない外貨通知預金を行う銀行もあります。
円で預金するより高い金利が見込めるため、資産が増える傾向にあります。ただし、為替手数料や為替相場によっては、引き出す際に損をしてしまうケースも0ではありません。
REIT
REIT(リート)は不動産に特化した投資信託です。「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の頭文字を取った造語で、単一用途特化型、複数用途特化型、地域特化型、REIT型ETFの4種類があげられます。
税制的な観点から、REITは運用益の大半を投資家に分配できる傾向にあり、それに伴い、利回りも高い傾向にあります。
それぞれ投資対象が異なるため、商品を購入する際は不動産投資に関する一定の知識が必要です。
ETF
ETFは、金融商品取引所(証券取引所)に上場している投資信託です。「Exchange Traded Funds(上場投資信託)」の頭文字を取っており、株式と同様の感覚で売買可能です。
株式(日経平均株価やTOPIX)など値動きに連動するインデックス型と、連動指数を定めないアクティブ型の2種類があります。インデックス型は、株式以外にも、通貨、債券、REITなどの指数に連動する商品もあります。
定期預金
定期預金とは、普通預金よりも高い金利が設定された定期預金口座に、一定期間任意の金額を預け入れる運用方法です。普通預金よりも高い金利が設定されているため、ただ銀行に預けているよりもお金が増えます。
国内では、実店舗を持たないネット銀行の場合、0.1~0.3%ほどの金利が設定されているケースがあります。株式投資などに比べて元本割れのリスクはなく、低リスクで確実に増やせることが特徴です。
ただし、物価上昇などのインフレには対応できないうえに、効率はよくないためおすすめできません。
なお、定期預金口座を開設した金融機関が倒産等によりなくなった場合、ひとつの金融機関につき1人あたり1000万円保護されます。
もし、資産運用が効率よく進み資産が増えてきた場合には、ひとつの金融機関につき1000万円ほど預け入れるようにしましょう。
100万円を資産運用するメリット
100万円を資産運用するメリットは、以下の3つです。
- 銀行に預けておくより増える見込みがある
- 分散投資ができるためリスクを抑えられる
- 投資コストを抑えやすい
詳細を見ていきましょう。
銀行に預けておくより増える見込みがある
100万円を普通預金で銀行に入れたまま放置するよりも、資産運用をしたほうが増える見込みがあります。日本の銀行口座に普通預金で100万円預けていた場合、メガバンクの年利0.02%の場合は1年間預けた場合で200円(税引き前)です。
預金をしていた際の少額の利益よりも資産運用を行うことで、運用方法によっては3~5%ほどの年利を得られる場合があります。
もちろん元本割れの可能性もあるため、事前に運用方法をよく検討し、知識を身につけておく必要があるでしょう。
分散投資ができるためリスクを抑えられる
100万円あれば、分散投資も可能です。例えば株式投資をする場合は、A社、B社、C社の株式を購入することで、A社の株が下がっても、B社やC社でカバーできる可能性があります。
ある程度まとまったお金がなければ、投資先を分ける分散投資はできません。
また、投資信託の場合、月5万円ずつ積立しながら投資する時間によるリスク分散を行うことでリスクを抑えられるでしょう。
投資コストを抑えやすい
100万円という額であれば、運用次第では投資コストを抑えやすくなっていくメリットが出てきます。
元手が多ければ多いほど、成功したときの効果やその加速度が高まっていくのは事実です。もっとも、100万円でうまく分散投資して成果を生めば、本来かかる購入手数料や信託報酬などのコストを減らす選択肢も出てきます。
具体的には、よりコストの低い金融商品に資産を移動させていくことや、手数料割引サービスという特典を受けられることがあります。利益よりコストのほうが大きくて元本割れになることのないように、コストを抑えられる選択を逐一していきましょう。
100万円を資産運用するデメリット
100万円を資産運用するデメリットとしてあげられるのは、以下の2つです。
- 使えるお金が減る
- 場合によっては損失が発生する
詳細を見ていきましょう。
使えるお金が減る
100万円を資産運用することで、使えるお金が減ります。資産運用の方法によっては、引出までに時間がかかるケースも考えられるでしょう。
つまり、緊急時に引き出せるお金の総額が減ります。
資産運用は余剰資金で行い、資産ポートフォリオなどを作成し現金保有率などは厳密に管理しておくことがおすすめです。
場合によっては損失が発生する
資産運用をすることで、損失が発生する可能性があります。株式投資や投資信託、外貨預金などは元本割れの可能性もあるので注意が必要です。
元本割れをしないよう資産運用するためには、リスク管理の他、基本的な資産運用の知識が必要不可欠です。投資のプロでも、毎日100%利益を出し続けることはできません。
余剰資金でゆとりのある資産運用をすることが重要です。
100万円で資産運用をする際のシミュレーション
仮に100万円で資産運用した場合どうなるのか、シミュレーションしてみましょう。
預貯金や投資信託に付く利息には、単利と複利という概念があります。
- 単利:預けた元本だけに付く利息、その計算方法
- 複利:付いた利息を元本に加えて新しい元本とし、そこにまた新たに就く利息
複利の場合は利息に利息が付くというわけです。長期運用する場合は、順調に複利運用できれば単利の場合と大きな差が出ることになります。
たとえば、元本100万円で単利と複利、年利3%と5%でどれくらい違うか見てみましょう。
10年後 | 20年後 | 30年後 | |
---|---|---|---|
単利運用・年利3% | 130万円 | 160万円 | 190万円 |
単利運用・年利5% | 150万円 | 200万円 | 250万円 |
複利運用・年利3% | 約134万円 | 約180万円 | 約242万円 |
複利運用・年利5% | 約162万円 | 約265万円 | 約432万円 |
このシミュレーションから、「年利が高いものを選ぶこと」「長期運用するならば複利を選ぶこと」で、将来得ることができる利益に大きな差が出ることが理解できると思います。
資産運用を開始する前に知っておくべき情報
資産運用を開始する前に知っておくべき情報がいくつかあります。
- 長期・積立・分散投資が資産運用の基本
- リスクとリターンについて
- 金融商品の3大要素
- 単利と複利の違い
- 利回り1%にこだわることが大切
以上の情報について詳細に解説するので、一緒に確認していきましょう。
長期・積立・分散投資が資産運用の基本
一般的には、「長期・積立・分散」で投資していくことが望ましいと考えられています。
これらの投資スタイルは、資産運用におけるリスクを回避することに役立ちます。
長期で運用すれば、常に変化している金融商品の値動きに過敏にならずに、精神的にも楽に取り組むことができます。加えて、長く続ければ続けるほど得られる複利運用の恩恵を得やすくなるのもポイント。
また、積立で投資すれば金融商品の購入のタイミングをばらばらにできて、タイミングごとの急な変動に対するリスクを軽減することが可能になります。さらに、購入する金融商品の種類を分散させることも、ひとつの種類のリスクだけに依存せずに運用できるメリットを得られます。
リスクとリターンについて
投資のリスクとは損失だけを指す言葉ではなく、金融の世界では利益や損失という変動幅の不確実性のことを意味します。そして、リターンは資産運用で得られる利益や収益のことです。
つまり、「リターンを得られるかどうかわからない、不確実である」ということが金融商品におけるリスクということです。
基本的にリスクとリターンは比例関係になるような仕組みになっています。多くのリターンを得られるものはそのリスクも高く、リスクを低く抑えようとするとリターンも低くなってしまいます。
誰もが望むような「ローリスクハイリターン」の商品は存在しないということです。
それを前提に、自分の資産運用の目的に合った「リスクとリターン」のバランスの商品を選びましょう。
金融商品の3大要素
金融商品には、性質を分類する上で「安全性」「流動性」「収益性」という3つの大きな要素があります。
安全性とは、運用する金融商品によって損失が発生する可能性のことで、ポイントが2つあります。
ひとつは、元本保証があるかという点で、値動きにより換金したときに購入代金を下回ることがあるものは安全性は低く評価されます。もうひとつは、利子・配当・分配などが変動するかという点で、固定型のほうが安全性が高いとされます。
流動性とは現金化のしやすさのことです。運用期間や据置期間が決まっていて払い戻せないものや、解約可能だが手数料がかかるものは流動性が低いのです。
収益性は、運用で得られる利益のことで、大きく分けてインカムゲインとキャピタルゲインがあります。前者は、保有時に発生する利益のこと(利息、配当金)、後者は売却時に得られる購入価格との差額による利益のことです。
単利と複利の違い
預貯金などには利息が付きます。
その利息には単利と複利があって、それぞれ計算方法が違います。
単利とは、元本だけに付く利息のこと。
利益の計算方法は、以下の通りになります。
単利の利益 = 元本 × 年利率 × 年数
複利とは、一定期間ごとに付く利息を次の期間には元本に加えて新しい元本にし、それに対して付く利息のことです。利息に利息が付くこととなります。
ですので、計算方法は以下の通り。
複利の利益 = 元本 × (1 + 年利率)年数乗 − 元本
これらのことから、単利に比べて、複利は長期で運用すれば利益を生む速度がどんどん上がっていくという性質が理解できます。
利回り1%にこだわることが大切
資産運用において、利回りは1%でも高いということにこだわることが大切です。
利回りとは、元本に対する1年間の収益のこと。
1年間だけの比較では1%の差は大きな収益の差にはつながりませんが、長期で複利運用をすればその差はとてつもなく大きな差になります。
たとえば、複利運用で年利2%と年利3%を比較しましょう。
30年間続けたとき、2%のほうは元本の1.81倍にしかなりませんが、3%では2.42倍まで元本が大きくなります。
金融商品の購入においては、利回りについて1%の差にもこだわることが資産運用の成果を左右するのです。
資産運用のコツとは?
資産運用のコツは、以下の4つです。
- 分散投資を徹底する
- 資産運用の目的をはっきりさせる
- 余剰資金を運用に廻す
- 定期的にリバランスを行う
詳細を見ていきましょう。
分散投資を徹底する
投資の基本的な考え方は、長期、分散、積立です。
極端な例として、「A社の株を1回で100万円分購入し、その後A社が倒産した」場合は、投資した100万円は0円になります。しかし、A社の株の他にB社やC社の株を購入すれば、A社の損失をカバーできるかもしれません。
また、A社の株が底値だと思った際に1回で購入せず、複数回に分けて購入するのも良いでしょう。こちらは投資する対象ではなく、投資するタイミングを分散させているので、「時間の分散投資」と呼ばれています。
A社の株が底値だと思っても、実際にはその後さらに下落するケースは多々あります。さらに下落した際に、また上がると判断したのであればその時点でまた株を購入することで、その後株価が上昇すれば2回目の分はプラスになるでしょう。
リスクを最小限に抑えたい場合は、投資信託の積立購入もひとつの手です。株式や投資信託を検討している場合は、利益が非課税になる新NISA制度やiDeCoなどの活用を検討しましょう。
資産運用の目的をはっきりさせる
資産運用の目的により、資産運用方法は異なります。
「65歳で定年を迎えて70歳から年金を受け取りたいが、その5年の生活資金が不安」など、人に寄って悩みや目的は違います。
よりリスクを抑えて期待できる年利回りも低い運用が良いのか、高い利回りを期待したいのかなど、目的に応じてきちんと運用方法を決めておきましょう。
資産運用のプロに相談するのも、ひとつの手段です。
余剰資金を運用に回す
資産運用は無理をしない範囲の余剰資金で行いましょう。
ほとんどの資産運用は、元本割れのリスクがあります。収入を丸ごと使ってしまったり、生活に必要なお金で資産運用を行ったりした場合、資産が目に見えて減った際に正常な判断がしにくくなります。
また、お金が減っている際に強いストレスを感じるでしょう。10年先など今後、ゆとりのある生活をするために資産運用をすることはおすすめですが、生活ができなくなっては元も子もありません。
定期的にリバランスを行う
分散投資をする際に作成したポートフォリオは、定期的にリバランスしましょう。
ポートフォリオは作成当時に最適だと判断した資産の構成比率であって、運用を進めていくとその比率は変わってきます。
特定の種類の資産に値動きがあった場合には、全体の比率という観点では当初予定していたバランスは崩れているので戻す必要が出てくるのです。
定期的に内容をチェックしてリバランスすることで、高くなりすぎていたリスクを抑えて、再び全体として価値を上げていく運用が可能になります。例えば株式と債券に50万円ずつ投資を始めたあと、株式の価値が80万円、債券が40万円に変化したとします。
20万円分の株式を売却して20万円分の債券を購入することで、比率が投資開始当初の50:50に戻ります。株式を売却することで利益を確定させ、割安になった債券に投資することで効率的に口数を増やすことができています。
できれば1年に1回くらいのペースでリバランスをして長期に運用を続けるのが吉です。
まとめ
100万円で資産運用する際の、おすすめの方法と注意点を紹介しました。
100万円ほどあれば、リスクを分散した上での投資が可能です。銀行に預けておくよりも、効率的な資産の増加が期待できます。
しかし、資産運用の方法を間違えればマイナスになるケースもあります。資産運用の基本的な知識を身につけ、よく検討したうえで資産を運用していきましょう。