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夏から秋に毎年のように発生する台風やゲリラ豪雨、冬場の空気乾燥による火事など、私たちは常に災害に遭う危険性にさらされています。そのような被災時に資産の損害があった場合に利用できる制度が雑損控除です。

ただし、雑損控除は被災すれば無条件に使えるわけではなく、適用できる条件や控除額が設定されています。

そこで本記事では、雑損控除の概要と、控除される金額、雑損控除を受けるための手続き等をご紹介します。雑損控除について事前に知っておくと、万一被災した場合も必要以上にあわてたり落ちこんだりせず、冷静に手続きを行うことが可能です。

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雑損控除とは

雑損控除

「そもそも雑損控除がよくわからない」という方もいらっしゃるでしょう。雑損控除とは、「災害や盗難、横領によって資産に損害を受けた場合等に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度」です。

台風や水害、火災、地震といった天災の他にも、盗難や横領といった人災による資産損失の場合も適用されます。以下の章で、雑損控除の対象となる資産および雑損控除が認められる損害理由についてご紹介します。

雑損控除の対象となる資産

資産に損失が発生した場合に適用される雑損控除ですが、すべての資産が雑損控除の対象になるわけではないことには注意が必要です。

雑損控除の対象となるのは、損害を受けた資産が次の2つの条件を満たす場合です。

  • 納税者本人が所有、または納税者と生計を同じくする配偶者や親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(2019年分以前は38万円以下)である人が所有する資産
  • 棚卸資産や事業用固定資産、「生活に通常必要でない資産」の双方に該当しない資産

つまり、生活に必要な資産に損害を受けた場合に適用されます。生活に通常必要ない資産の例は、別荘やゴルフ会員権、価格が30万円以上の貴金属や書画骨董などが挙げられます。棚卸資産や事業用固定資産は事業に関する費目であるため、雑損控除の対象外です。

雑損控除が認められる損害理由

生活に通常必要な資産の損失であれば、無条件で雑損控除の対象として認められるわけではありません。

雑損控除が認められる損害理由は次の5項目のいずれかに該当する場合です。

  • 震災や風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象由来の災害
  • 火災や火薬類の爆発など人為由来の異常災害
  • 害虫など生物由来の異常災害
  • 盗難
  • 横領

ここで注目していただきたいのは、「盗難」「横領」は対象理由として認められているのに対し、「詐欺」「恐喝」による損失は認められていない点です。詐欺や恐喝に遭っても雑損控除は適用されません。

被災地では災害に便乗した詐欺が発生することも多いですが、被害に遭われた場合でも雑損控除は受けられないのでご注意ください。

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雑損控除で控除される金額

雑損控除

「雑損控除でどの程度所得控除されるのか」は、多くの方が気になるポイントでしょう。次の2つの計算式で算出した、多いほうの金額が控除額です。

  • (差引損失額)ー(総所得金額等)×10%
  • (差引損失額のうち災害関連支出金額)ー5万円

控除額が大きすぎてその年の所得から控除しきれない場合は、3年間を限度として翌年以降に繰り越せます。ここでご説明した災害関連支出金額とは、災害で損失を受けた住宅や家財の取り壊しや撤去に要する費用です。

計算式で重要な「差引損失額」および「総所得金額等」の算出方法を以下でご説明します。

差引損失額の求め方

差引損失額とは、損害金額と災害に関連したやむを得ない支出金額の合計から、保険金などによって補てんされた金額を引いたものです。損害金額とは、損害を受ける直前のその資産時価に基づいて算出した額面です。

災害に関連したやむを得ない支出金額とは、上述の災害関連支出金額だけではなく、盗難や横領で損害を受けた資産を回復するために支出した金額も含めます。

ご自身で損失額の算出が難しい場合は、国税庁が定める「損失額の合理的な計算方法」もご確認ください。

総所得金額等の求め方

総所得金額等は、以下の4つの所得の合計金額から繰越控除などを適用した後の金額です。

  • 事業所得や不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得や配当所得または短期譲渡所得、雑所得
  • 総合課税の超過譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算の金額)の2分の1の金額
  • 退職所得金額
  • 山林所得金額

繰越控除されるものには、例えば以下のような項目があります。

  • 純損失や雑損失の繰越控除
  • 居住用財産の買換え等で譲渡損失が発生した場合の繰越控除
  • 上場株式等の譲渡損失が発生した場合の繰越控除

雑損控除を受けるために必要な手続き

雑損控除

雑損控除を受けるためには確定申告が必要です。確定申告書の雑損控除の欄に事項を記載し、災害に関連したやむを得ない支出金額の領収証を添付または提示します。

なお、給与所得がある方の場合、2019年4月1日以降は源泉徴収票の確定申告書への添付または提示は不要になりました。

被災の場合は災害減免法による所得税の軽減免除とも比較しよう

雑損控除

その年の所得等の合計額が1,000万円以下の人が被災した場合には、雑損控除以外に「災害減免法による所得税の軽減免除」を利用できます。いずれかご自分に有利な制度を選べるので、ぜひチェックしておきましょう。

なお、所得等の合計額が1,000万円超の人は雑損控除しか選べません。また、盗難や横領による資産損失も適用できるのは雑損控除のみです。

災害減免法による所得税の軽減免除の控除額

災害減免法による所得税の軽減免除の控除額はどの程度の金額なのでしょうか。控除額は所得合計額により、以下の3パターンとなります。

  • 所得合計額が500万円以下:所得税額の額の全額
  • 所得合計額が500万円~750万円以下:所得税額の2分の1
  • 所得合計額が750万円~1,000万円以下:所得税額の4分の1

まとめ:やむを得ない資産の損失があった場合は冷静に申請手続きをしよう

雑損控除とは何かという概要と、控除される金額、雑損控除を受けるための手続き等をご紹介しました。

台風による風水害や地震、火災、盗難などに遭うと動転しても無理はありません。しかし、生活に必要な資産は雑損控除で損失補てんができます。ぜひ、冷静に申請手続きを行ないましょう。

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