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税金

火災保険は年末調整の対象?火災保険料と所得控除の関係について

「年末調整」では、納税額を確定して必要に応じて過不足の調整が行われます。その際に必要書類を提出すると、様々な控除を受けることができますが「火災保険」はその対象なのでしょうか?

もし、火災保険の保険料が控除などの制度の対象になる場合は、控除を受けるためには適切な手続きが必要です。本記事では、火災保険の保険料が年末調整における控除などの制度の対象になるのかどうかについて解説します。

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年末調整は「控除」のために必要

最初に、そもそも年末調整はどんな目的で実施されているのかについて確認しておきましょう。

年末調整を一言で言い表すと「納税額を確定させるための手続き」です。通常、会社などに雇用されている方は「源泉徴収」として、毎月の給料の一部を前もって税金として納めています。

ただし、源泉徴収の合計金額が必ずしもその年の納税額と一致するわけではありません。多くの場合は過不足が発生します。

そこで、その年の給与所得の合計額が確定するタイミング、つまり12月分の給料の計算の時点で本来の納税するべき金額を確定して、源泉徴収で収めている金額との過不足を計算します。また、この時に税制上認められている各種控除の計算も行い、過不足の実態に応じて追徴課税または還付が行われます。

火災保険の保険料は所得控除の対象ではない

結論を述べると「火災保険の保険料」は、年末調整や確定申告における所得控除の対象ではありません。厳密に言えば、控除の対象ではなくなりました。

確定申告における控除には、支払った生命保険料等が控除の対象になる「生命保険料控除」があります。同じく「保険料と名の付く火災保険料も控除の対象になるイメージがありますが、2007年に行われた税制改正により、それまであった「損害保険料控除」が廃止されたため、保険料の支払額に関わらず控除の対象外になりました。

火災保険料が控除の対象になる条件(旧長期損害保険料控除)

税制改正により、それまで火災保険料の支払いにより受けられた控除が廃止されています。しかし、以下の3つの条件を満たしている場合は、火災保険料が所得控除の対象になる可能性がある点に注意が必要です。

本記事でも詳しく解説しますが、より詳しく理解したい方は国税庁の「旧長期損害保険料」についての解説をご覧になってください。

参考:国税庁「地震保険料控除に関する経過措置」

  • 2006年12月31日までに締結した火災保険である
  • 保険期間が10年以上で満期返戻金がある
  • 2007年1月1日以降に保険契約を変更していない

条件①2006年12月31日までに締結した火災保険である

当該火災保険が「2006年12月31日までに締結した長期損害保険契約」であることが1つ目の条件です。2007年以降に締結している火災保険の場合、以降2つの条件を満たしていても、その保険料が所得控除の対象になることはありません。

火災保険の保険料はすでに税制改正により控除の対象外となっていますが、経過措置として3つの条件を満たしている長期保険契約に限って「地震保険料控除」として扱います。なお、同一の損害保険契約等または長期損害保険契約等に基づいて「地震保険料および旧長期損害保険料の両方を支払っている場合」は、いずれか一方の控除だけを選択する仕組みです。

条件②保険期間が10年以上で満期返戻金がある

当該火災保険が「10年以上の保険期間で締結されており、満期払戻金がある」ことが2つ目の条件です。2021年時点ですでに保険契約が終了している場合には保険料も支払っていないはずなので、注意するべきは「満期払戻金」の有無になるでしょう。

条件③2007年1月1日以降に保険契約を変更していない

当該火災保険が「2006年までの締結であると同時に、2007年1月1日以降に当該保険契約を変更していない」ことが3つ目の条件です。締結が2006年12月31日までの場合であっても、2007年以降に保険契約を変更した場合には、保険料が控除の対象にはなりません。

締結から15年以上が経過していれば、いずれかのタイミングで火災保険を見直しているケースも考えられます。2006年以前に火災保険を契約している人は、2007年以降に契約内容を変更していることを忘れているかもしれません。後述する手続きを開始する前に、当該保険契約をどこかで見直していないかどうか、書類等で契約内容をきちんと確認しておきましょう。

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地震保険料控除について

保険契約自体は「火災保険」であっても、控除対象となる場合の制度上の扱いとしては「地震保険料控除」になります。そこで、この項目では地震保険料控除について解説します。

地震保険料控除の金額

本来の地震保険料控除は、5万円を限度として支払った保険料の全額が控除の対象となります。火災保険などの旧長期損害保険料に区分される保険料に関しては、以下の計算式で控除額が求められます。

  • 年間の支払保険料の合計が1万円以下:その全額
  • 年間の支払保険料の合計が1万円超2万円以下:その半額+5千円
  • 年間の支払保険料の合計が2万円超:1万5千円

なお、地震保険料と旧長期損害保険料に区分される保険料がどちらも存在する場合には、5万円を限度としてそれぞれの方法で計算した金額の合計額が控除額となります。

地震保険料控除を適用するための手続き

地震保険料控除を適用するためには、年末調整または確定申告で申請手続きを行う必要があります。年末調整を受ける会社員等の方の場合は、必要書類に必要事項を記入して、企業の担当者に提出してください。年末調整を受けない方は、確定申告の必要事項を記入して、所轄の税務署に提出しましょう。

地震保険料控除を受ける手続きに必要な書類

地震保険料控除を申請する場合には、支払った保険料額や、当該控除を受けられることを証明する書類を提出する必要があります。近年は「電磁的記録印刷書面」を利用した申請も可能です。

該当する書類は、契約している保険会社から毎年秋~冬頃に送付される「控除証明書」が挙げられます。該当する書類が年末調整の時期になっても手元に届いていない場合には、契約している保険会社に問い合わせてください。

火災保険の負担を軽減する方法

年末調整で保険料控除を適用できれば、節税効果により保険料の負担が軽減されます。しかし、直近で契約した、または直近で契約を見直している火災保険の場合は、残念ながら地震保険料控除の対象にはなりません。

火災保険の負担を軽減する方法としては、例えば以下の方法が挙げられます。

  • 補償内容を薄くする
  • 免責設定を追加する
  • 長期契約による割引を適用する

これらの方法には少なからずデメリットやリスクもありますので、その点も考慮して判断しましょう。 火災保険をはじめとした各種保険契約、その他さまざまな支出の問題は、客観的な意見を参考にすることも重要です。以下の記事が参考になるので、ぜひご覧ください。

まとめ:一部の火災保険は年末調整で控除の対象になる

本記事では、年末調整で控除の対象になる火災保険について解説しました。以下の内容を押さえておきましょう。

  • 火災保険料は基本的に控除の対象外
  • 一部の長期契約の場合は地震保険料控除の対象になる
  • 控除だけでなく保険の見直しも節約効果がある

条件は厳しいかもしれませんが、該当する保険契約を利用中の場合は申告することで節税できます。ご自身の火災保険契約が該当するかどうかは、お手元の契約書類や保険会社への問い合わせで確認してください。

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