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税金

「累進課税」と聞くと「年収が増えるほど税金がとられる」というイメージを持っている方がいるでしょう。しかし、累進課税制度は何の税金に適用されるのか、具体的には知らないという方も多いです。わからないままだと、いざ納税する時に驚くことになるかもしれません。

そこで本記事では、累進課税制度についての概要の説明と、累進課税制度が適用される3つの税金、各税金の税率や計算方法、累進課税を前提とした節税対策をご紹介します。どの税金に適用されるのかがわかり、必要な節税対策を行なえます。

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累進課税制度とは所得に応じて税率が変動する制度

累進課税 税率

累進課税制度とは、所得が多くなるほど高い税率を課す制度です。「がんばって働いたのになぜ」と思うかもしれません。累進課税制度は、所得に応じた税金を各人が負担することで、格差の是正を行なう目的にもとづく制度です。格差是正のためなら、納得もできるのではないでしょうか。

累進課税制度には、大きく分けて次の2種類があります。課税の対象となる課税標準額が一定基準を超えた場合に、どのように課税するかで方式が異なります。

  • 単純累進課税:一定基準を超えた場合、全体に高い税率を課す
  • 超過累進課税:一定基準を超えた場合、超えた金額に高い税率を課す

現在用いられているのは、超過累進課税です。単純累進課税の場合、ボーダーライン前後で課税額が極端に異なってしまうおそれがあります。その点、超過累進課税なら税負担を公正に是正できます。

 

累進課税制度が適用される3つの税金

累進課税 税率

累進課税制度の対象となっている税金は、次の3つです。

  • 所得税
  • 相続税
  • 贈与税

所得税が累進課税というのはよく知られていますが、相続税や贈与税が累進課税であると知らなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。以下では、これら3種類の税金について、それぞれの累進課税の仕組みをご紹介します。

所得税の累進課税の仕組み

累進課税 税率

多くの人が納税した経験がある所得税。その所得税の累進課税の仕組みを、次の項目に沿ってご紹介します。

  • 所得税とはどのような税金か
  • 所得税の税率
  • 所得税の計算方法

所得税についての定義を明確にしたうえで、税率や計算方法を確認すると理解しやすいです。毎年所得税を納税している方も多いでしょう。身近な税金なので、ぜひご一読ください。

 

所得税とは年収に対して課される税金

所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間の、個人の収入に対して課される税金です。会社員が得る「給与所得」や、大家さんが得る「不動産所得」、事業経営者が得る「事業所得」など10種類に分類された所得に課税されます。

所得税は、年収の全額に課されるわけではありません。年収から必要経費や所得控除等を引いた課税所得額に基づき、税額が確定します。

会社員などお勤めの場合、源泉徴収と年末調整で所得税納税が済むため、実際にどのように払っているのかピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。次でご紹介する所得税の税率、および計算方法で、ご自身の所得税について確認してみてください。

所得税の税率

所得税の累進課税は7段階に分かれており、税率は5%~45%です。課税所得額と税率の関係性を、次の表にまとめました。

所得税の速算表

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

出典:国税庁「所得税の税率」

課税所得額の増加にしたがって、税率が高くなっているのがわかります。この課税所得額は年収ではありません。課税所得額の算出も含めて、次項で所得税の計算方法をご紹介します。

所得税の計算方法

「会社で天引きされているから、実際に所得税の計算はしたことがない」という方も多いでしょう。上記の所得税の速算表を用いて、次の表の手順にしたがって所得税を算出できます。

順序 手順 計算式
課税所得額を決定 課税所得額=収入-必要経費-各種所得控除
上表(所得税の速算表)より基準所得税額を決定 基準所得税額=課税所得額×税率-控除額
申告する所得税額を決定 申告する所得税額=基準所得税額-税額控除
復興特別所得税を決定※2037年まで 復興特別所得税=基準所得税額×2.1%

①まずは、収入から必要経費や各種所得控除を引いて、課税所得額をもとめてください。
算出した課税所得額に「所得税の速算表」の税率をかけて、控除額を引くと基準所得税額が決定されます。
③基準所得税額から税額控除を引くと、申告する所得税額が算出できます。③でもとめた税額が納税額です。
④2037年までは復興特別所得税が課されており、基準所得税額の2.1%の税額を納めます。

所得税の計算方法についてもっとくわしく知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。

 

相続税の累進課税の仕組み

累進課税 税率

所得税は毎年納税している人が多いのに対し、相続税は長い人生の中でもあまり納税することがないでしょう。しかし、相続税も累進課税の対象である以上、内容を知っておくといざという時に安心です。次の3項目にしたがって、相続税の累進課税の仕組みをご紹介します。

  • 相続税とはどのような税金か
  • 相続税の税率
  • 相続税の計算方法


 

相続税とは相続した遺産に対して課される税金

相続税とは、亡くなった人の遺産を受け継いだ人に対して、取得した遺産に課される税金です。遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)以下の場合は、相続税は発生しません。遺産総額が基礎控除額以上、つまり高額の場合に相続税が課せられます。

次のものを除き、金銭的価値があるものはすべて遺産にカウントされ、相続税の対象となります。

  • 墓地や墓石、仏壇など祭祀承継されるもの:骨董品や高額なものは課税対象
  • 死亡保険金:500万円×法定相続人数までの金額は対象外
  • 死亡退職金:500万円×法定相続人数までの金額は対象外


 

相続税の税率

相続税の累進課税は8段階に分かれており、税率は10%~55%です。各相続人の法定相続分に応じた取得金額と税率の関係を、次の表にまとめました。

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

出典:国税庁「相続税の税率」

「法定相続分に応ずる取得金額」は、相続人個人が取得する額面です。遺産総額ではありません。この相続税の速算表にもとづいて、相続税の算出ができます。

相続税の計算方法

相続税の計算方法を一覧にまとめました。手順にしたがって計算することで、自分がどの程度相続税を納めなければならないのかがわかります。

順序 手順 計算式
基礎控除額を決定 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
課税遺産総額を決定 課税遺産総額=遺産総額-基礎控除額
各人の課税遺産額を決定 各人の課税遺産額=課税遺産総額×法定相続割合
上表(相続税の速算表)より各人の相続税額を決定 各人の相続税額=各人の課税遺産額×税率-控除額
相続税の総額を決定 相続税の総額=各人の相続税額の合計(全員分)
各人の納税額を決定 各人の納税額=相続税の総額×実際の相続割合

まず、法定相続人の合計数から基礎控除額をもとめます(①)。遺産総額が基礎控除額以下の場合は、相続税は発生しません。遺産総額が基礎控除額以上の場合、差額が課税遺産総額です(②)。相続人の間で、法定相続割合にもとづいて各人の課税遺産額をもとめます(③)。

前述の「相続税の速算表」から、各人の相続税額が決定されます(④)。その合計額が相続税の総額です(⑤)。相続税の総額に実際の相続割合をかけて、各人の納税額が算出されます(⑥)。

ただし、配偶者の取得した遺産への相続税に関しては、特例として法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い額まで控除があります。相続税の計算方法の詳細は、下記でご確認ください。

 

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贈与税の累進課税の仕組み

累進課税 税率

「財産を生前贈与することで、相続税対策になる」という話を耳にした方も多いのではないでしょうか。しかし、贈与も累進課税の対象です。贈与税の累進課税の仕組みを、次の3項目においてご紹介します。

  • 贈与税とはどのような税金か
  • 贈与税の税率
  • 贈与税の計算方法

「自分の家は金持ちではないので、贈与税は関係ないかも」と考えるのは、大きな間違いです。親からの援助というつもりで受け取った金銭が、贈与税の対象になってしまうこともあります。ぜひ贈与税についての理解を深めておきましょう。

贈与税とは1年間に受けた贈与に対して課される税金

贈与税とは、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与に対して課される税金です。年間110万円以下の場合は、贈与税は発生しません。また、親が子どもの生活や教育を負担する費用なども贈与税の対象外です。

「財産を生前に贈ることで相続税から逃れる」といった事態を防ぐために、贈与税が存在しています。贈与税は相続税を補完する税であり、基礎控除額が110万円と少なく、課税価格に対して税率が高いのが特徴です。具体的な税率は次項で確認します。

贈与税の税率

贈与税の税率は、次の2種類があり、課税価格や控除額がそれぞれ異なります。

  • 一般贈与財産用贈与税:夫婦間や兄弟間、親子間(子が20歳未満)の贈与が対象
  • 特例贈与財産用贈与税:直系尊属(祖父母や父母)から20歳以上の子や孫への贈与が対象

一般贈与財産用贈与税の、基礎控除後の課税価格と税率、控除額の関係を確認してみましょう。

一般贈与財産用(一般税率)贈与税の速算表

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

出典:国税庁「贈与税の計算と税率」

相続税と異なり、3,000万円超で55%と、かなり厳しい累進課税であることがわかります。一方、直系尊属からの贈与にかかる、特例贈与財産用贈与税については、次のとおりです。

特例贈与財産用(特例税率)贈与税の速算表

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

出典:国税庁「贈与税の計算と税率」

一般贈与財産用贈与税とは、基礎控除後の課税価格の価格帯や控除額が異なっています。これらの贈与税速算表にもとづいて、以下で贈与税を計算してみましょう。

贈与税の計算方法

贈与税の計算方法は、所得税や相続税と異なり、次の計算式1つで算出できます。
贈与税額=課税価格(1年間に贈与を受けた財産の総額-110万円)×税率-控除額、であり、税率と控除額は上記の表で確認してください。贈与が110万円以下の場合、贈与税が発生しないのは、この計算式にもとづいています。

累進課税を前提とした節税対策

累進課税 税率

「少しお金が入れば累進課税でとられてしまう」とあせってしまうかもしれません。そこで、累進課税を前提とした節税対策に取り組んでみませんか。所得税と、相続税および贈与税では、対策が異なるため、2つに分けて以下でそれぞれご紹介します。

今からすぐに取り組める対策もあるので、ぜひご一読ください。

所得税の節税対策!各種控除制度を活用

所得税の節税対策としては、とにかく各種控除制度を活用することが挙げられます。課税所得を減らせる各種控除は、例えば以下のものがあります。

  • 扶養控除
  • 医療費控除
  • 生命保険料控除
  • 住宅ローン控除
  • ふるさと納税

使える控除は積極的に使いましょう。
また、所得を分散させることも所得税の節税になります。特に自営業の場合、所得を複数年に分散させ、妻やその他家族に所得を分散することで節税につながります。

相続税・贈与税の節税対策!暦年課税・相続時精算課税を活用

遺産にかかる相続税も、生前贈与にかかる贈与税も、できれば少なくしたいものです。おすすめなのが、年間110万円以下の贈与なら税が発生しない「暦年贈与」です。110万円以上でも、毎年贈与をして低額の贈与税を納める「暦年課税」は、結果的に相続税の減少につながります。

また、相続の際に、今まで納めてきた贈与税を相続税で精算する「相続時精算課税」も、有効です。ただし、相続時精算課税を選ぶと暦年課税には戻せない点にご注意ください。

まとめ:累進課税の対象となる税金について理解し節税対策をしよう!

本記事ではまず、累進課税制度が適用されるのは以下の3つの税金であることをご紹介しました。

  • 所得税
  • 相続税
  • 贈与税

また、各税金の税率や計算方法、累進課税を前提とした節税対策が多数あることを解説しました。所得税と相続税、贈与税のそれぞれの累進課税の仕組みがわかると、節税対策もより行ないやすいです。ご自分に合った節税対策を活用してみてください。

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