貯蓄や節約を目的に家計の見直しをする場合、毎月の生活費や支出の内訳を知ることが必要です。自身の生活費を把握したら、世間一般の生活費の平均と比較することで家計の見直しポイントがわかるでしょう。
今回の記事では、1か月の平均的な生活費について紹介します。年代別や世帯人数別の平均生活費なども紹介するので、家計を見直すことで貯蓄や家計収支の改善を検討してみましょう。
勤労世帯の平均生活費は約26.4万円
総務省の「家計調査」によると、2021年度の平均生活費(勤労世帯)は約26.4万円です。支出の内訳は次の通りです。
勤労世帯の平均生活費・2021年度:
支出項目 | 平均金額(円) | 割合 | 支出の内容 |
---|---|---|---|
食料 | 6万5,737 | 24.9% | 食材費、外食費など |
住居 | 2万3,094 | 8.8% | 家賃、修繕費など |
光熱・水道 | 1万7,734 | 6.7% | 電気代、ガス代など |
家具・家事用品 | 1万0,543 | 4.0% | 家具代、家事サービスなど |
被服および履物 | 8,967 | 3.4% | クリーニング代などを含む |
保健医療 | 1万0,941 | 4.1% | 病院の医療費、医薬品代など |
交通・通信 | 4万0,987 | 15.5% | 携帯代、自動車関連費用など |
教育 | 1万2,869 | 4.9% | 入学金、学費、塾代など |
教養娯楽 | 2万4,887 | 9.4% | レジャー費、本代など |
その他 | 4万8,149 | 18.2% | 雑費、こづかい、交際費など |
生活費合計 | 26万3,907 | 100.0% |
参考:政府統計ポータルサイトe-Stat「家計調査・2021年・1世帯当たり1か月間の収入と支出/4/世帯人員・世帯主の年齢階級別」(以下同様)
生活費には住宅ローンの支払いは含まれません。また、住居の金額(内、家賃の平均金額は1万7,495円)は持ち家の人を含めた金額であるため、賃貸の世帯の平均金額は上記よりも大きくなります。
支出金額で大きいのは、食費、交際費などその他支出、交通・通信費です。家計の見直しを行うときは、支出額の大きな費用から見直すと効果が期待できます。
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世帯状況によって平均生活費は大きく異なる
生活費は年齢や家族構成など世帯の状況によって大きく異なります。年代別や世帯人数別、地域別の平均生活費を紹介します。
年代別の平均生活費
勤労世帯の世帯主の年代別平均生活費は次の通りです。
年代別の平均生活費・2021年度(円):
世帯主の年齢 | 29歳以下 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70才以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
食料 | 3万7,955 | 5万9,319 | 7万4,919 | 7万0,512 | 7万0,019 | 5万9,654 |
住居 | 3万0,052 | 3万0,924 | 2万2,138 | 1万9,315 | 2万0,185 | 1万5,480 |
光熱・水道 | 8,688 | 1万5,059 | 1万9,600 | 1万9,690 | 2万0,179 | 1万8,036 |
家具等 | 6,670 | 1万0,770 | 1万1,546 | 1万0,394 | 1万1,890 | 8,620 |
被服など | 6,213 | 9,753 | 1万0,795 | 9,387 | 7,300 | 5,436 |
保健医療 | 5,858 | 9,422 | 1万0,595 | 1万1,860 | 1万4,512 | 1万1,875 |
交通・通信 | 2万2,102 | 3万4,010 | 4万4,073 | 4万9,208 | 4万6,254 | 2万8,890 |
教育 | 416 | 5,710 | 2万1,915 | 2万0,958 | 4,241 | 106 |
教養娯楽 | 1万7,182 | 2万5,112 | 2万8,636 | 2万6,536 | 2万3,154 | 1万5,832 |
その他 | 2万4,139 | 3万3,744 | 4万9,420 | 6万2,052 | 5万6,343 | 4万2,009 |
生活費合計 | 15万9,276 | 23万3,822 | 29万3,636 | 29万9,911 | 27万4,077 | 20万5,939 |
世帯主の年齢が上がるに従い平均生活費は増加し、50歳代にピークを迎えます。年齢とともに家族数や収入が増え、生活費が増加するからです。一方、60歳以降は、子供の独立や退職などで家族数や収入が減少し、生活費も低下します。
世帯人数別の平均生活費
勤労世帯の世帯人数別の平均生活費は次の通りです。
世帯人数別の平均生活費・2021年度(円):
世帯人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
食料 | 3万9,884 | 6万7,170 | 7万6,289 | 8万6,019 | 9万0,937 | 10万2,972 |
住居 | 2万9,637 | 2万4,273 | 2万0,291 | 1万7,432 | 1万5,379 | 7,645 |
光熱・水道 | 1万0,225 | 1万8,476 | 2万1,344 | 2万2,773 | 2万4,857 | 2万8,791 |
家具等 | 6,151 | 1万1,829 | 1万2,455 | 1万3,347 | 1万4,130 | 1万3,199 |
被服など | 5,932 | 7,955 | 9,959 | 1万2,454 | 1万2,450 | 1万4,435 |
保健医療 | 6,540 | 1万3,452 | 1万3,815 | 1万2,824 | 1万1,686 | 1万0,475 |
交通・通信 | 2万3,734 | 4万8,715 | 4万9,899 | 4万9,962 | 4万8,253 | 5万4,324 |
教育 | 14 | 1,023 | 1万6,872 | 3万2,931 | 3万2,994 | 4万2,694 |
教養娯楽 | 1万9,710 | 2万3,424 | 2万6,446 | 3万0,713 | 3万0,546 | 3万6,310 |
その他 | 2万9,988 | 6万6,492 | 5万8,361 | 5万0,546 | 4万5,017 | 6万1,847 |
生活費合計 | 17万1,815 | 28万2,809 | 30万5,731 | 32万9,001 | 32万6,249 | 37万2,692 |
世帯人数が増えるほど平均生活費も増加する傾向にありますが、人数が2倍になったからといって生活費も2倍になるわけではありません。1人世帯から2人世帯になると生活費は10万円以上増加しますが、3人以上世帯では世帯人数が1人増えても生活費は数万円増加するだけです。
教育費を除くと、2人世帯と3人以上5人以下世帯の生活費はあまり変わりません。世帯人数が増えると食費など一定程度増えますが、交際費を含むその他支出などを減らして生活費を抑えている様子がうかがえます。
3人家族や4人家族の生活費について詳しく知りたい人は、次の記事をご参照ください。
地域別の平均生活費
勤労世帯の地域別の平均生活費は次の通りです。
地域別の平均生活費・2021年度(円):
地方 | 北海道 | 関東地方 | 東海地方 | 近畿地方 | 中国地方 | 九州地方 |
---|---|---|---|---|---|---|
食料 | 5万6,849 | 6万9,958 | 6万9,315 | 6万7,061 | 5万9,673 | 5万8,435 |
住居 | 2万0,694 | 2万6,001 | 1万7,929 | 2万5,750 | 2万0,424 | 1万9,355 |
光熱・水道 | 2万2,546 | 1万6,679 | 1万7,857 | 1万7,124 | 1万8,201 | 1万6,953 |
家具等 | 8,705 | 1万1,222 | 1万1,735 | 9,466 | 9,957 | 9,973 |
被服など | 8,136 | 9,503 | 1万0,078 | 9,516 | 7,258 | 8,601 |
保健医療 | 8,113 | 1万2,318 | 1万2,203 | 1万0,224 | 1万0,191 | 9,813 |
交通・通信 | 3万8,492 | 3万8,917 | 5万1,436 | 4万0,087 | 4万1,665 | 4万0,731 |
教育 | 7,199 | 1万6,550 | 1万5,033 | 1万2,902 | 8,553 | 1万0,065 |
教養娯楽 | 1万8,551 | 2万7,789 | 2万8,027 | 2万4,771 | 1万9,851 | 2万1,868 |
その他 | 5万4,387 | 4万8,240 | 5万0,014 | 4万6,096 | 4万6,219 | 4万7,592 |
生活費合計 | 24万3,673 | 27万7,178 | 28万3,628 | 26万2,997 | 24万1,992 | 24万3,387 |
参考:政府統計ポータルサイトe-Stat「家計調査・2021年・1世帯当たり1か月間の収入と支出/2/都市階級・地方・都道府県庁所在市別」
地域別の平均生活費を比較すると、東京・大阪・名古屋の3大都市を含む3つの地方の生活費が高いです。東海地方と中国地方では、平均生活費は4万円以上異なります。
3大都市を含む地方では、食料や教育、教養娯楽などの平均金額が全国平均よりも高い傾向です。
家計の収支に関する平均金額
ここまで生活費の平均金額について見てきましたが、最後に家計の収支に関する平均金額を紹介します。
税金などの非消費支出の平均金額
家計調査では生活費は消費支出に分類され、非消費支出(税金や社会保険料など)と合わせた金額が実質的な支出額となります。勤労世帯の非消費支出の平均は約9.6万円(税金約4万円、社会保険料約5.6万円)です。
生活費の平均金額約26.4万円を加えると、実支出額の平均は約36万円になります。
世帯収入と家計の黒字の平均金額
勤労世帯の世帯収入の平均は約52.2万円です。実支出額約36万円を差し引くと、1か月当たりの黒字額は平均約16.2万円です。
黒字額のすべてを貯蓄に充てると年間200万円の貯蓄ができる計算になります。ただし、実支出額には住宅ローンの返済金や生命保険料などが含まれないため、ほとんど貯蓄ができないケースも考えられます。
将来に向けて貯蓄を増やすには、収入を増やすか支出を抑えることが必要です。収入アップは思い通りにいかないケースも多いため、節約して支出を抑えることを検討してみましょう。節約のポイントは、支出金額の大きい食費や交通・通信費などを見直すことと固定的な支出を抑えることです。
家計の見直し方法について詳しく知りたい人は、次の記事をご参照ください。
まとめ:平均生活費を参考にして定期的に生活費を見直しましょう
総務省の調査では、2021年度の平均生活費(勤労世帯)は約26.4万円ですが、実際の生活費は年齢や家族構成など世帯の状況によって大きく異なります。本記事の平均生活費を参考に、無駄な支出がないかを定期的に点検しましょう。
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