就職活動を控えていて、公務員を狙っている学生も多いことでしょう。ただ、「安定した待遇が得られる」ということは何となく知っていても、具体的に支給される金額についてはご存知ない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、国家公務員や地方公務員に支給されるボーナスの実績について解説します。また、ボーナスを含めた年収についても紹介するので、今後の就職活動の参考にしてください。
公務員のボーナス平均はいくら?
公務員のボーナスは一律に支給される「期末手当」と、勤務実績に応じて支給額が決まる「勤勉手当」の合計です。
法律で月給だけでなくボーナスの支払いも定められている点で民間企業とは大きく異なります。
民間企業の場合、大手企業であっても業績次第で賞与が減額、あるいはゼロ回答になる可能性もあります。民間と比較して、公務員のボーナスに関する待遇は恵まれているといえるでしょう。
では具体的にいくらのボーナスが支給されるのでしょうか。発表されている公的な資料から探ってみましょう。
国家公務員の平均は年間で約131.3万円
内閣官房内閣人事局が公表している報道資料によれば、2021年の国家公務員の平均ボーナス支給額は以下のとおりです。
国家公務員のボーナス平均支給額 | |
---|---|
2021年6月期 | 約661,100円 |
2021年12月期 | 約651,600円 |
出典:内閣官房内閣人事局「令和3年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
内閣官房内閣人事局「令和3年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
2021年に支給されたボーナスの平均額は合計で「1,312,700円」でした。
地方公務員のボーナスは国家公務員に準拠して決まる
地方公務員のボーナスは、国家公務員の動向に準拠して決められます。
東京都が発表している東京都職員のボーナス支給額は以下のとおりです。
東京都職員のボーナス平均支給額 | |
---|---|
2021年6月期 | 745,459円(控除後) |
2021年12月期 | 712,889円(控除後) |
支給額は年間1,458,348円で、月給の4.40ヶ月分です。
ただし、国家公務員と異なり、自治体によって支給額は変動します。ほとんどの自治体では地方公務員のボーナス支給額を公表しているので、気になる方は一度確認してみるといいでしょう。
ボーナスも含めた公務員の平均年収は?
国税庁が調べた「令和3年分民間給与実態統計調査結果」によると、民間企業に勤務した給与所得者の平均年収は以下のとおりです。
平均給与 | |
---|---|
男性 | 5,453,000円 |
女性 | 3,020,000円 |
計 | 4,433,000円 |
民間の平均給与と比べ、公務員の給与はどのような水準にあるのか平均年収を調べました。
国家公務員の平均年収は約627万円
人事院「令和4年度国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の平均給与月額は413,064円です。
413,064円に12をかけて前述の2021年の平均賞与額「1,312,700円」を足すと、平均年収は6,269,468円(約627万円)という結果になります。
地方公務員の平均年収は約642万円
総務省「令和3年度地方公務員給与の実態」によれば、地方公務員の平均基本給与月額は413,374円でした。
413,374円に12をかけて、前述の東京都の賞与「1,458,348円」を足すと、平均年収はおおよそ6,418,836(約642万円)と考えられます。
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公務員はボーナスだけではなく福利厚生も充実
労働の対価として受け取る報酬は「給与」「ボーナス」だけではありません。休暇制度をはじめとした福利厚生も、就職先を比較検討するうえでは大切な要素です。
公務員の福利厚生は民間と比較してどの程度充実しているのでしょうか?
休暇制度が充実している
公務員も民間企業も、現在は週休2日制度が普及しています。年間の休日日数では、そこまで大きな差はありません。待遇で差がつくのは休暇制度の充実度です。
民間企業にも建前上の休暇制度はありますが、仕事の進み具合や同僚の休暇取得の取り方によって、十分に取得できないケースも散見されます。一方、休暇を指導する立場である公務員が民間と同じようなことをしていると、休暇制度の普及はできません。
公務員では民間では導入されていない、さまざまな特別休暇制度が充実しています。民間企業の場合、法定休暇として定められているのは「産前産後休暇」「育児介護休業」などです。
公務員では以下のような特別休暇が定められています。
【公務員が利用できる特別休暇の例】
- 公民権行使
- 官公署出頭
- 骨髄などドナー
- ボランティア
- 結婚
- 産前・産後
- 妻の出産
- 男性の育児参加
- 子の看護
- 短期介護
- 忌引父母の追悼
- 夏季休暇
- 現住居の滅失 など
民間では考えられないほど、特別休暇が幅広く用意されていることが分かります。
これらの休暇を堂々と利用して休むことができるのは、公務員として働くことの大きなモチベーションにつながるでしょう。
民間企業平均を上回る退職金規定がある
民間の退職金は以前よりも減少傾向が続いています。
厚生労働省「就労条件総合調査」によれば、勤続35年以上の大学・大学院卒の管理・事務・技術職の退職給付額は以下のとおりです。
【平均退職給付額】
勤続35年以上の大学・大学院卒の管理・事務・技術職 | |
---|---|
平成30年 | 1,997万円 |
平成25年 | 2,156万円 |
平成20年 | 2,529万円 |
平成15年 | 2,612万円 |
民間の場合、退職金そのものを廃止したり毎月の給与に上乗せしたり、あるいは企業型確定拠出年金(DC)として運用を労働者に一任するなど、退職時に必ず一定額が支給される制度から変遷がみられます。
一方の公務員の場合、現時点では退職金が支払われる従来の制度のままです。将来に向けて安心して仕事に取り組むことができます。
退職金の金額についても、公務員の支給額は民間の平均を上回っています。
退職給付額を官民で比較すると、民間企業は2,405万5千円、公務員は2,407万円でした。公務員の退職金が、民間を0.06%上回っています。
出典:人事院「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る人事院の見解の概要」
公務員の退職金に関する詳細は、以下の記事を参考にしてください。
直近の公務員の賃金はどう変化している?
過去のデータを見てみると、ボーナスでも年収でも民間より公務員の方が充実していることが分かりました。
では、今後の収入はどのように変化していくのでしょうか。報道資料から、最新の賃金・ボーナスの動向を紹介します。
2022年の国家公務員ボーナスは少なくとも0.1ヶ月引き上げ
2022年6月30日に支給された国家公務員の夏のボーナス(期末・勤勉手当)は、管理職を除く一般行政職(平均34.2歳)の平均が約584,800円となり、前年の夏に比べて約76,300円減少という結果でした。
上記の数字に2022年12月期の期末手当と勤勉手当を含む金額が、2022年度の公務員のボーナス支給額になります。
報道資料によれば、2022年冬のボーナス支給額はプラスで改定される見込みです。ボーナス(期末・勤勉手当)の支給月数を少なくとも0.1ヶ月は引き上げ、年4.40ヶ月以上となります。プラス改定は3年ぶりのことです。
新型コロナウイルスの感染拡大で悪化していた企業の業績に回復が見られ、人事院の調査で民間企業のボーナスが公務員を上回る見通しとなったことを受けて、民間水準に合わせて引き上げられます。
ボーナスは民間に合わせて削減された経緯もある
2021年のボーナスについて見てみると、民間企業との均衡を図るための引き下げが行われました。支給額は4.45ヶ月から4.30ヶ月に引き下げられています。
6月期 | 12月期 | |
---|---|---|
2021年度 | 期末手当:1.275ヶ月 勤勉手当:0.95ヶ月 |
1.125ヶ月 0.95ヶ月 |
2022年現在、新型コロナウイルスの収束は見られず、さらに「歴史的な円安」「ウクライナ問題」など、経済に影響を与えるニュースが相次いでいます。
今後も民間の動向を踏まえ、公務員のボーナス支給水準は変動するでしょう。
まとめ:公務員のボーナスは民間の状況を反映して変動する
国家公務員と地方公務員に分けて、ボーナスの詳細や年収の平均について解説しました。
国家公務員のボーナスは概ね「年4.40ヶ月」程度で、平均年収は約627万円になっています。地方公務員は国家公務員の待遇に準拠して決められますが、同程度の水準です。
民間の状況を反映して公務員のボーナスや年収は増減しますが、民間と比べて高額なボーナス・平均年収になっています。さらに、公務員は休暇についても幅広く制度が整っているのも魅力です。
今回紹介した内容を参考に、公務員を視野に入れて就職活動を進めてみてはいかがでしょうか。