投資を始める前に、投資のよくある失敗例を知っておきたいと考える人もいるでしょう。
投資に限らず、失敗例を事前に知って対策を取り、失敗を防止することが重要です。
そこでこの記事では、投資のよくある失敗例を紹介します。失敗してしまう理由や具体的な対策方法もわかるため、ぜひこれから投資を始める人は失敗の事前防止のためにお役立てください。
投資のよくある失敗例
投資のよくある失敗例は次のとおりです。それぞれの失敗例について具体的に解説していきます。
投資のよくある失敗例
- 余剰資金だけでなく生活費を削ってまで投資してしまう
- 根拠もなく銘柄を購入してしまう
- 損失を取り返そうと感情的な取引をしてしまう
- 利益が出たからといって投資額を増やしてしまう
余剰資金だけでなく生活費を削ってまで投資してしまう
投資をするうえで最大の失敗ともいえるのが、余剰資金だけでなく生活費を削ってまで投資してしまうことです。
そもそも投資は元本が保証されていません。例えば、株式投資なら株式を取得してから株価が下がる可能性があります。そのため、絶対に減らしてはいけない資金(生活費)を投資に使うことは避けるべきです。
具体的には、当面(数年以上)使う予定がないお金で投資するようにしましょう。なお、近いうちに使う予定のある車の購入費や旅行費用はもちろん、失業や傷病、災害に備えた生活防衛資金は投資資金とは別に確保しておくのが理想的です。
根拠もなく銘柄を購入してしまう
投資にふさわしいと考えられる明確な根拠のない銘柄を購入してしまうことも、失敗につながることが多いです。例えば、次のような理由で投資すると失敗につながります。
根拠もなく銘柄を購入してしまう失敗例
- 周りの人が儲かると話していたから
- とりあえずその企業を知っているから
- おすすめランキングの1位として紹介されていたから
- とにかく配当金が多かったから
自分なりの根拠を持った投資ができないと、投資で継続的に利益を出すのは難しいでしょう。
損失を取り返そうと感情的な取引をしてしまう
投資は損失が生じる可能性がある一方、利益も得られます。そこで一度損失を出してしまった後、次は利益が出るだろうと甘く考えてしまうこともあるようです。
そこで損失を取り返そうと感情的に取引をしてしまった結果、損失を拡大させてしまいます。感情的に取引をすると冷静な判断はできないうえに、結局は根拠のない取引となるかもしれないことを把握しておくべきでしょう。
利益が出たからといって投資額を増やしてしまう
損失が出たときだけでなく、利益が出たときも感情的な取引をしてしまうことがあります。具体的には、利益が出たからといって根拠もなく投資額を増やしてしまい、結果として大きな損失を出す例です。
たしかに、自分なりの確立した取引ルールで結果が出ているなら投資額を増やすのは合理的といえるかもしれません。しかし、感情に任せて簡単に投資額を増やすのは避けるべきでしょう。
投資に失敗してしまう理由とは?
投資の失敗例を紹介しましたが、ここからはもう少し掘り下げて失敗の理由について把握していきましょう。
投資に失敗してしまう理由
- 資金管理ができていない(余剰資金の把握)
- 投資(資産運用)の知識が不足している
- 業界や銘柄に対する知識が不足している
資金管理ができていない
資金管理ができていない場合、投資で失敗してしまう可能性が高いです。
その理由は生活への影響が大きくなることはもちろん、損失を許容できないという精神上の焦りにつながることも挙げられます。
株式や投資信託、債券などの投資資産は価格変動リスクがありますが、一度下落した後、大きな上昇を見せることもあります。このような場合、下落したときに損失が許容できなければ損切りをしなければならず、その後の上昇による恩恵を受けられません。
投資(資産運用)の知識が不足している
投資(資産運用)の知識が不足していると、正しい判断ができないことから失敗につながります。株式や債券、投資信託に投資すること自体は簡単ですが、投資商品の値動きの仕組みは簡単ではありません。
例えば、株式や投資信託にはどのようなリスク(不確実性)があるのか、価格を動かす要因は何か、株価指数とは何かなどを把握しておくべきです。
そのほか、ドルコスト平均法(定額買付)などの投資方法に関する知識も得ておくと良いでしょう。
業界や銘柄に対する知識が不足している
投資対象の仕組みに関する知識も重要ですが、例えば株式投資なら、業界や銘柄に対する知識もあることが望ましいです。
個別銘柄に対する知識を得るための方法の1つとして、損益計算書や貸借対照表を通じて投資対象(会社)を分析する方法が挙げられます。
業界知識については、経済新聞を見るなどして知識を深めておきましょう。
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投資を成功させるための5つのルールとは?
投資を成功させるためには、取り戻せないような大きな失敗をしないことが重要です。
そこで、これまで紹介してきた内容を踏まえ、投資を成功させるための5つのルールを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
投資を成功させるための5つのルール
- 家計状況をもとに余剰資金を確実に把握する
- 売買と損切りのルールを決めて守る
- 資金管理のルールを決めて守る
- 投資対象の仕組みやリスクを理解してから投資する
- 長期・積立・分散投資を意識する
家計状況をもとに余剰資金を確実に把握する
投資を成功させるためには、家計状況をもとに、投資にまわせる余剰資金を確実に把握することが欠かせません。余剰資金とは、言わばなくなっても当分は困らないお金です。
具体的には、毎月の収入から生活費を差し引いた額が投資できる額ですが、近いうちに使うかもしれない車の購入費や旅行費用、教育費、失業時や傷病時のための緊急防衛資金を確保したうえで残った額とするのが理想といえます。
売買と損切りのルールを決めて守る
何も考えずに株式や投資信託などの資産を取得し、価格が上がったら売るという意識では、継続的に利益を出すことは難しいでしょう。
そのため、投資をする際には「どのような根拠を持って売買するのか」や「どうなったら損切りをするのか」といったルールを決めておくことがおすすめです。
なお、損切りとは含み損を抱えたまま決済をすることであり、損失を拡大させないという効果があります。
資金管理のルールを決めて守る
当然ですが、投資を継続するためには資金が必要です。取引資金が0円になったら投資は継続できないため、資金管理は特に重要なものだといえます。
資金管理にはさまざまな方法がありますが、例えば、取引1回の損失額は余剰資金(取引資金)の2%までにするなどのルールを決めておくことがおすすめです。
仮に余剰資金が50万円であれば、1回の取引で許容可能な損失額は1万円となります。もし損失が生じた場合、次に取引するときは余剰資金が49万円となっているため、許容損失額は2%の9,800円です。
すると10回連続で損失を出してしまっても資金は約40万8,500円残ります。結果として、大損を出して投資を継続できなくなるという失敗を避けられるでしょう。
投資対象の仕組みやリスクを理解してから投資する
投資で成功するためには、投資対象の仕組みやリスクを理解してから投資をすることが重要です。周りが投資を始めているからといって、知らない金融商品に投資するのは避けましょう。
もっとも、投資対象の仕組みやリスクを学ぶのには時間がかかることもあります。その場合には、例えば月に1,000円ずつなど少額での投資を始めてみても良いでしょう。
長期・積立・分散投資を意識する
投資をするときは、長期・積立・分散投資を意識しましょう。長期投資と積立投資、分散投資それぞれの意義について解説します。
長期・積立・分散投資の意義
- 長期投資:短期的な変動に左右されにくい
- 積立投資:高値づかみを避けられる
- 分散投資:安定的なパフォーマンスを図ることができる
長期投資なら短期的な変動に左右されにくい
長期投資とは、数日から数週間など比較的短期に売買を完結するのではなく、例えば数ヶ月から数年以上、その資産を保有し続ける投資方法です。
日本証券業協会が公表している資料では、投資を始める際の基本は長期的な視点で運用することだと説明されています。
長期投資が基本である理由は、運用成果が短期的な価格変動に左右されにくいことと、複利効果を得られるからです。
引用元:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】「リスクを軽減して運用するには「長期・積立・分散投資」がポイント」
金融庁も次のとおり説明しています。
投資には、中長期的に行っていくことで、投資資金を運用して得られた利益が更に運用されて増えていく「複利」の効果があります。「投資期間」と「複利」の効果には関係があり、投資期間が長いほど、複利効果も大きくなる傾向があります。また投資期間が長いことで、投資による価格変動リスクが小さくなり、安定した収益が期待できます。
引用元:金融庁「投資の基本」
そのほか、売買するときに負担することのある手数料なども抑えられます。
積立投資なら高値づかみを避けられる
積立投資をすると、購入した後値下がりが起きる高値づかみを避けられます。積み立て投資は、後述する分散投資の一種で、投資タイミングの分散が可能です。
積立投資の中でもドル・コスト平均法(定額購入法)という方法では、価格が高いときには少なく、低いときには多く買うことができます。これにより、価格変動にならって取得単価が平均化されます。
分散投資なら安定的なパフォーマンスを図ることができる
積立投資は投資タイミングの分散によってリスクを抑えるものでしたが、ほかにも投資対象(資産・銘柄)を分散することによってもリスクを抑えられます。
下図のとおり、1つの資産が大きく下落したとしても、保有資産全体への影響を限定することが可能です。
投資先を分散することの効果:
引用元:日本証券業協会「投資のはじめ方」
まとめ:投資の失敗例を事前に把握して失敗を避けましょう
投資の失敗例は、大きく分けて資金管理に基づくものと取引ルールに基づくものに分けられます。
そのため、投資で失敗を防ぐためには、事前にルールを決めて余剰資金で投資を行うことが重要です。
また、長期・積立・分散投資を行うことで、リスクを抑えつつ運用成績が安定することが期待できます。ぜひこの記事を参考に、投資で失敗しないための方法を実践してみてください。