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税金

寡婦控除とは?寡婦控除を受けられるか判断する方法や申請方法などをわかりやすく解説

寡婦控除は令和2年(2020年)の税制改正で大きく変わりました。そのため、寡婦控除を今まで知っていた方でも「新しい寡婦控除」について気になるはず。

そこで本記事では、新しくなった寡婦控除についてわかりやすく解説していきます。次のようなことがわかるので、寡婦控除を受けられるかどうか気になっている人は参考にしてください。

  • 寡婦控除とは何か
  • 寡婦控除を受けると税金がいくら戻るのか
  • 寡婦控除を受けられる条件
  • 寡婦控除の条件「合計所得金額」の計算方法
  • 寡婦控除を申請する方法と手続
  • 寡婦控除はいつ・何が改正されたのか
  • 寡婦控除とひとり親控除の違い

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寡婦控除とは何か?寡婦控除の概要

寡婦控除とは、その名のとおり「寡婦」が受けられる所得控除です。

そもそも寡婦とは、夫と離婚または死別してから再婚していない女性のことを指しています。

しかし、寡婦であっても必ずしも寡婦控除の対象となるわけではありません。この点については少し複雑ですので、このあとの「寡婦控除を受けられる条件を確認しよう」で解説します。

寡婦控除を受けられる条件に当てはまる方は、以下のように所得控除が適用されるため、税金の負担が減ります。

  • 所得税では27万円の寡婦控除
  • 住民税では26万円の寡婦控除

それでは、寡婦控除を受けられる条件を確認していきましょう。

寡婦控除を受けられる条件を確認しよう

寡婦控除を受けられる条件と、条件を判定するタイミングについては次のとおりです。ここでは、それぞれ解説します。

  • 寡婦・非事実婚要件:夫と離婚して現在も独身または夫と死別している女性
  • 所得要件:合計所得金額が500万円以下
  • 扶養要件:年齢関係なく扶養している親族がいる
  • 判定の基準日:12月31日時点の現況で判定

また、これらの要件を満たしていても「ひとり親控除」を受けられるのであれば寡婦控除は受けられません。寡婦控除よりもひとり親控除のほうが控除額は大きいので、損はしないことになります。

くわしくは以下の記事を参考にしてください。

 

寡婦・非事実婚要件:夫と離婚して現在も独身または夫と死別している女性

寡婦控除という名称であることから、次の要件の「いずれか(どちらか1つ)」を満たしている必要があります。

  • 夫と離婚して現在も独身(内縁・事実婚でもない)の女性であること
  • 夫と死別したか夫の生死が不明であること

配偶者と離婚して現在独身である女性は要件を満たしますが、男性であれば要件を満たさず寡婦控除を受けられません。男性であっても、ひとり親控除の要件を満たせば「ひとり親控除」で所得控除を受けることになります。

また、内縁・事実婚については住民票に「未届の夫」と記載があるかどうかがポイントです。婚姻届を出していないからといって、住民票に「未届の夫」と記載があれば寡婦控除は受けられません。

所得要件:合計所得金額が500万円以下

その他の条件に当てはまっていたとしても、合計所得金額が500万円を超えてしまうと寡婦控除は受けられません。

そもそも、所得控除はそれぞれ個人のあらゆる事情を加味して税金の負担を抑えるものです。合計所得金額が500万円を超えていると、税金の負担を抑える必要性が薄れるため、このような所得要件が設けられているのです。

合計所得金額の詳細については後述する「寡婦控除の合計所得金額500万円以下とは?計算方法・計算例を紹介」で解説します。
 

扶養要件:年齢関係なく扶養している親族がいる

一部の場合を除き、寡婦控除を受けるには子ども以外の「扶養親族」がいることが要件です。

扶養親族は簡単に言うと、同じ財布で生活している年間合計所得48万円以下の親族です。別居していても、いわゆる「仕送り」を行っていれば扶養親族とみなされます。

詳細は以下の記事を参考にしてください。


なお、所得控除の1つである「扶養控除」については16歳以上のみが対象ですが、寡婦控除については年齢の制限はありません。

また、夫と死別している場合と夫が生死不明の場合はこの扶養要件はありません。つまり、この場合は誰も扶養していなくても寡婦控除の対象です。

判定の基準日:12月31日時点の現況で判定

寡婦であるか、扶養親族がいるかどうかについては、その年の12月31日時点の現況で判定します。

極端ですが、1月から11月末まで1年の大部分は結婚していても、12月に離婚して扶養親族がいれば寡婦控除の対象になることもあります。

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寡婦控除の合計所得金額500万円以下とは?計算方法・計算例を紹介

少し用語は難しいものとなりますが、税金における各種控除を適用するかどうかの判断基準となるものには、次のようなものがあります。

  • 合計所得金額 = すべての所得を合計した金額(赤字の所得があれば損益通算する)
  • 総所得金額等 = 合計所得金額から各種損失の繰越控除を引いた金額(前年から繰り越している損失がなければ合計所得金額と同じ)

難しい言葉が並びますが、給与所得のみであれば、基本的に合計所得金額と総所得金額等は給与所得の金額と変わりません。実際に、給与所得300万円のみの一般的なサラリーマンでそれぞれの所得を計算してみましょう。

  1. 合計所得金額:給与所得以外に合計する所得がないので300万円
  2. 総所得金額等:前年から繰り越した損失がないので300万円

サラリーマンの多くは給与所得のみで繰り越した損失がないので、合計所得金額と総所得金額等は給与所得と同じ金額になるのです。もし大家さんとして家賃収入(不動産所得)がある場合や、個人事業主として事業所得がある場合は、それらの所得をすべて合計したものが合計所得金額となります。

個人事業主として1年間の事業所得が300万円、さらに給与所得が300万円ある人は、合計所得金額600万円なので寡婦控除を受けられません。寡婦控除などの所得控除は税金の負担を抑えるためのものですので、所得が大きい人には適用しないようになっているのです。

なお、給与所得のみの場合は年収677万円7,778円以下で合計所得金額500万円以下を満たします。
 

寡婦控除を申請する方法・手続き【年末調整/確定申告】

寡婦控除を受けられるのであれば、年末調整や確定申告など一定の手続きを行いましょう。それぞれの手続きについて解説します。

年末調整で寡婦控除を申請する方法

12月時点で会社に在籍している人であれば、基本的に年末調整で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して寡婦控除を受けます。

令和3年度(2021年度)以降の扶養控除等申告書では、「C障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄にある「寡婦」にチェックを入れます。

参照:国税庁「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

確定申告で寡婦控除を申請する方法

確定申告では、確定申告書第一表にある「寡婦、ひとり親控除」の欄に控除額を記入します。寡婦控除の控除額は27万円です。

ひとり親控除の場合は「区分」に縦棒を入れますが、寡婦控除では不要ですので注意してください。

また、確定申告書第二表にある「本人に関する事項」にも記入します。「死別」「離婚」など当てはまる原因にチェックを入れ、「寡婦」を◯で囲みましょう。

参照:国税庁「申告書A【令和2年分以降用】」

年金のみしか所得がない場合の手続き

所得が年金のみの人は、年金の支払者である日本年金機構に「扶養親族等申告書」を提出します。具体的には「寡婦等」の欄び印字されてある「寡婦」を◯で囲みます。

参照:日本年金機構「扶養親族等申告書の記入方法」

老齢年金は雑所得として課税の対象とされているため、会社が給与から源泉徴収するように、日本年金機構も支払う年金から源泉徴収する義務があるのです。

給与所得者が年末調整の扶養控除等申告書を会社に提出して控除を受けるのと同様、年金のみを受けている人も扶養親族等申告書を日本年金に提出して控除を受けます。
 

寡婦控除を受けると税金がいくら戻る?節税額を計算してみよう

税金がいくら戻るか計算するために、まずは税金の基本を確認していきましょう。

「税金」と一言で紹介していますが、1年間の所得に発生する税金はおもに「所得税」と「住民税」の2つがあります。

所得税も住民税も、税金の計算方法の基本(総合課税)は次のとおりです。

{(収入 - 必要経費など) - 所得控除 × 税率}- 税額控除

上式の(収入 - 必要経費)は「所得」と呼ばれ、給与所得者であれば「給与収入 - 給与所得控除」で計算されます。

所得控除は本記事のテーマである寡婦控除を含め、基礎控除や社会保険料控除などのことを言います。

所得税の税率は超過累進税率となっており、所得が高いほど税率が高くなる仕組みです。住民税は一律10%の税率となっています。これらの基本を押さえながら上式をもとに計算すれば、寡婦控除でいくら節税できるか計算できるのです。

所得税であれば、適用される税率と寡婦控除27万円を掛けた額が節税できる所得税の目安となります。住民税は税率10%ですので、住民税における寡婦控除26万円の10%である2.6万円が目安です。

実際に計算する場合は、以下国税庁のサイトなどを参照してください。ただし、住民税はお住まいの都道府県および市区町村で計算方法が異なる場合があります。その場合は、お住まいの市区町村のホームページを参照しましょう。

参照:国税庁「所得税のしくみ」
参照:国税庁「No.2260 所得税の税率」
参照:東京都主税局「個人住民税」
 

寡婦控除は、いつ・何が改正された?

寡婦控除は、令和2年度(2020年)の税制改正で、従来の寡婦(夫)控除の問題点を改善するために見直されました。

従来の寡婦控除の問題点は、おもに次の2点です。

  • 「結婚したことがないひとり親」が寡婦(夫)控除を受けられなかった
  • 男性と女性で控除額が異なっていた

そこで、婚姻歴や性別の壁を取っ払う「ひとり親控除」が創設されたのです。寡婦控除は残っているものの、「ひとり親控除」を受けられる人はひとり親控除が優先されます。

参照:財務省「令和2年度税制改正」

寡婦控除とひとり親控除の違い

改正された寡婦控除と、新しく創設されたひとり親控除との違いは次のとおりです。

  ひとり親控除 寡婦控除(死別を除く)
独身・
結婚歴要件
現に婚姻関係に当たらないこと(事実婚NG) 夫と離婚し、現に婚姻関係に当たらないこと(事実婚NG)
性別要件 男女問わない 女性のみ
扶養要件 総所得金額等が48万円以下の生計を一にする子がいること 扶養親族がいること
所得要件 合計所得金額が500万円以下であること 合計所得金額が500万円以下であること
控除額 35万円 27万円

結婚したことがあるかないか、扶養しているのが子かそれ以外かなどが異なります。なお、控除額はひとり親のほうが大きいです。

詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひご参考にしてください。

まとめ:寡婦控除やひとり親控除が受けられるなら確実に申請しよう

寡婦控除は婚姻関係がなく(事実婚でもない)、合計所得金額が500万円以下、扶養親族がいる寡婦である場合に27万円の所得控除を受けられるものです。また、ひとり親に該当する方は35万円のひとり親控除を受けられます。

寡婦控除やひとり親控除を受けるための手続きは、年末調整や確定申告などの際に、それぞれで該当する欄に簡単な記入を行って提出するのみです。

もし控除を受けられるのであれば、ぜひ忘れず確実に申請しましょう。

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