「教育費は平均いくらかかるのだろう」と気になる人も多いでしょう。親として子供にできるだけ良い教育を与えてあげたくても、お金の都合で難しい場合もあるため、事前準備が必要です。教育費の平均を知っておくと、今後のためにどの程度準備しておくべきかの目安にできます。
本記事では、教育費の概要と、段階別の教育費平均額を解説します。小学校・中学校・高校・大学などの各段階で平均いくらになるかがわかると、資金準備計画を立てやすいです。
また、教育費の準備方法と、教育費の支援制度も解説しているので、今お金がないからといって子供の教育をあきらめないでください。適切な準備と支援制度の活用で、子供が望む教育を受けることは可能です。ぜひ本記事を参考に、教育費の準備に取り組んでみてください。
教育費とは
教育費は、次の3種類に分けられます。
- 学校教育費:入学金や授業料、修学旅行費、学校納付金、図書・学用品・実習材料費等
- 学校給食費
- 学校外活動費:補助学習費(学習塾や家庭教師等)と、その他学校外活動費(スポーツや芸術文化活動等)
どのような学校や学校外活動を選ぶのかによって、必要な教育費は大きく異なってきます。
【段階(幼・小中高)別】教育費の平均額
教育費は、進学先や学校外活動(学習塾や習い事など)によって異なるため、個々の家庭によって千差万別でしょう。しかし、平均額を知っておくと一定の目安になります。
ここでは各段階における教育費の平均額を解説します。公立と私学に分けて解説しているので、想定する進学先に関しては、ぜひ参考にしてみてください。
幼稚園から高等学校までの教育費平均額
幼稚園から高等学校までの、1年間の教育費平均額と内訳を見てみましょう。
学校種別の年間学習費総額と内訳
学校教育費 (①) |
学校給食費 (②) |
学校外活動費 (③) |
学習費総計 (①+②+③) |
|
---|---|---|---|---|
公立幼稚園 | 6万1,156円 | 1万3,415円 | 9万555円 | 16万5,126円 |
私立幼稚園 | 13万4,835円 | 2万9,917円 | 14万4,157円 | 30万8,909円 |
公立小学校 | 6万5,974円 | 3万9,010円 | 24万7,582円 | 35万2,566円 |
私立小学校 | 96万1,013円 | 4万5,139円 | 66万797円 | 166万6,949円 |
公立中学校 | 13万2,349円 | 3万7,670円 | 36万8,780円 | 53万8,799円 |
私立中学校 | 106万1.350円 | 7,227円 | 36万7,776円 | 143万6,353円 |
公立高等学校※ | 30万9,261円 | - | 20万3,710円 | 51万2,971円 |
私立高等学校※ | 75万362円 | - | 30万4,082円 | 105万4,444円 |
※全日制高等学校を対象とする。
参考:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」
どの段階でも、教育費において私立が公立を大きく上回ることがわかります。たとえば、小学校の学習費総額では、私立は公立の4.7倍以上の金額です。学校教育費に焦点を合わせると、小学校では私立は公立の約15倍かかります。
大学の教育費平均額
大学の教育費平均額を見るために、初年度にかかる納付金(入学料と授業料等)の平均を、国立・公立・私立ごとに見てみましょう。
大学初年度の納付金平均額
国立大学 | 公立大学 | 私立大学 | |
---|---|---|---|
入学料 | 28万2,000円 | 39万1,305円※ | 24万5,951円 |
授業料 | 53万5,800円 | 53万6,363円 | 93万943円 |
施設設備費 | - | - | 18万186円 |
合計 | 81万7,800円 | 92万7,668円 | 135万7,080円 |
※公立大学の入学料平均は、地域外からの入学者の平均を記載
参考:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成16年文部科学省令第16号)」
参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移(令和3年度)」
参考:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
国公立と比べて私立大学は初年度の納付金が高いことがわかります。そのため、私立大学に入学したいなら、より多くのお金の準備が必要です。また、私立大学は文系・理系・医歯系で授業料や施設設備費が大きく異なるため、進路ごとに必要金額を調べる必要があります。
国立大学と私立大学の学費に関する詳細は、以下の記事を参考にしてください。
総額いくら?
教育費平均額の総額はいくらでしょうか。幼稚園3年、小学校6年、中学校および高等学校がそれぞれ3年、大学が4年という条件で、公立および私立ごとに総額を計算してみます。
段階別の教育費平均額の総額
公立(大学は国立※) | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 47万2,746円 | 92万4,636円 |
小学校 | 211万2,022円 | 999万9,660円 |
中学校 | 161万6,317円 | 430万3,805円 |
高等学校 | 154万3,116円 | 315万6,401円 |
大学 | 242万5,200円 | 469万467円 |
合計 | 816万9,401円 | 2,307万4,969円 |
※公立大学は大学数が少なくおよび規模が小さいため、国立で統一
参考:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」
参考:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成16年文部科学省令第16号)」
参考:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
幼稚園から大学まで、すべて公立の場合と私立の場合とでは、教育費総額が3倍近く差があります。子供に多くの選択肢を与えるためには、より早い段階から計画的に教育費を準備することが必要だといえるでしょう。
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教育費の準備方法
本記事を読み「教育費が高く準備できないかも」と不安になった人もいるかもしれません。しかし、次の3つの準備方法なら、コツコツと教育費を用意できます。
- 学資保険
- 貯金
- 資産運用
いずれの方法も、時間をかけて取り組むものであるため、できるだけ早く始めるのがおすすめです。
準備方法①:学資保険
学資保険は、子供の教育費のための保険です。加入すると定期的に保険料を支払うため、その支払保険料が教育費として着実に貯められます。支払保険料は生命保険料控除の対象になり、税制面でもお得といえるでしょう。
また、保険によっては契約者である親が死亡または高度障害となった場合、それ以降の保険料支払いが不要となる保障付きもあります。
準備方法②:貯金
貯金も、教育費を準備するためには不可欠の方法です。着実に貯金するためには、普通預金より定期預金がおすすめです。また、積立定期預金を活用すると、毎月定額を定期預金に自動的に積み立てられるので、着実に貯められます。
準備方法③:資産運用
貯金は着実にお金を貯められますが、近年は低金利が続いているため、金利分が増えるメリットはあまりありません。一定のリスクがあることを承知のうえで資産運用を行うと、教育費の準備がしやすくなります。
プロが選んだ金融商品に投資する投資信託なら、投資初心者も比較的取り組みやすいです。また、NISAを利用して投資をすると、運用益は全て非課税となるため、より収益が期待できます。リスクをとってもいい範囲の金額で、投資をすることをおすすめします。
教育費の支援制度も確認しておこう
「それでも、教育費の準備は難しい」と思う人もいるでしょう。しかし、近年の日本政府は教育費への支援に積極的に取り組んでいます。次の3つの支援制度は、ぜひ確認しておきましょう。
- 幼児教育・保育の無償化
- 高等学校等就学支援金制度
- 高等教育の修学支援新制度
これらの制度を活用すると、所得の低い世帯でも教育を受けられやすくなります。フル活用して、子供が望む教育を与えてあげてください。以下で、各制度について解説します。
幼児教育・保育の無償化
幼児教育・保育の無償化は、2019年10月から始まりました。主な内容は次のとおりです。
- 0~2歳児までの保育:住民非課税世帯が無償
- 3~5歳児までの教育・保育:すべての子供が無償(幼稚園は月額上限2万5,700円)
- 幼稚園の預かり保育:月額1万1,300円まで無償
ただし、無償といっても、送迎費や食材料費、行事費は必要です。また、幼稚園によっては無償化の対象となっていない場合もあるため、事前に住居地の市町村に確認しておきましょう。
高等学校等就学支援金制度
高等学校等就学支援金制度は、就学支援金が国から支給されることで、高校の授業料が実質無償になる制度です。公立高校は2010年に実質無償化が始まり、2014年以降は所得制限(年収910万円以上が授業料負担)という形になりました。
そして、2020年4月からは、私立高校も実質無償化が始まりました。計算式「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」が15万4,500円未満の場合、私立高校の授業料が実質無償です。一部の都道府県では国の「高等学校等就学支援金」に金額を上乗せするなど、独自の授業料軽減補助を行っています。お住いの都道府県ホームページをご確認ください。
参考:文部科学省「私立高等学校授業料の実質無償化について(2020年4月から)」
高等教育の修学支援新制度
2020年4月から、大学や短期大学、専門学校などに通う学生が受けられる高等教育の修学支援新制度が始まりました。給付奨学金や授業料減免制度という形で受けられます。住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯が対象です。
世帯収入や、自宅通学か自宅外通学かなど、さまざまな条件で支給額が異なります。また、進学先で学ぶ意欲があると示すことも必要です。学習意欲はあるのに家庭環境が厳しく進学が難しい場合、ぜひ活用したい制度です。
参考:文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
まとめ:早めに取り組んで無理なく教育費を準備しよう
段階別の教育費平均額と、教育費の準備方法、教育費の支援制度について解説しました。
公的支援は増えているとはいえ、教育費の準備は必要です。私立は公立の数倍かかるため、私立の学校に入学する予定であれば、より多額の教育費が求められます。
教育費の準備に早めに取り組んでおくほど、無理なく用意できます。子供の選択肢のためにも、ぜひ早めに準備を始めておきましょう。