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骨髄ドナーとしての骨髄手術は医療保険の対象?ドナー登録方法も解説

誰しも一度は骨髄ドナーという言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、その詳細やドナーが必要とされる背景を理解している人はそこまで多くありません。ドナーとして移植手術を受ける際の費用が心配で、ドナー登録をためらう人もいるでしょう。

ここでは骨髄ドナーの詳細や、実際に骨髄ドナーとして受けた手術は医療保険の対象になるのかを解説します。

すでにドナー登録を済ませている人も、移植手術時に医療保険が使えるのかどうか知っておくことは重要です。この記事を読むことで、ドナーとしての手術が医療保険の対象になるかどうかを理解し、ドナー登録や移植手術の知識を深めることができます。

骨髄ドナーは命をつなぐパートナー

血液の病気を治療するために、他者から骨髄を提供してもらう方法があります。最初に、患者の命をつなぐ存在である骨髄ドナーや移植手術について解説します。病名や手術名など難しい言葉が多いですが、骨髄ドナーについて正しく理解しましょう。

骨髄ドナーとは

ドナーとは寄付者の意味で、一般的には、他人の治療のために血液や身体の一部を提供する人を指します。

骨髄ドナーは、患者と白血球の型が一致している場合に骨髄を提供する人です。白血球の組み合わせは数万通りも存在します。そのため、型が一致する確率は、兄弟や姉妹間でも4分の1、血がつながっていない関係では数百~数万分の1と非常に低いのが特徴です。

そこで、より多くの患者の白血球に適合するドナーを見つけるため、骨髄バンクがドナーと患者をつなぐ事業を担っています。日本では毎年新たに1万人を超える人が血液の病気を発症していると言われており、骨髄バンクを介した移植を必要としている人は2,000人を超えます。

ドナー登録者数は現在約53万人で、移植率は6割です。今後より多くの患者が移植の機会を得るために、骨髄ドナーとしての登録が重要です。

造血幹細胞移植の3つの方法

血液の病気を発症すると、正常な血球を作ることができません。こうした血液疾患の治療には放射線療法抗がん剤の投与が行われます。これらの方法の他に、病気に侵された細胞を健常なものに置き換えて正常な造血機能を回復させるために行われるのが造血幹細胞移植です。

この造血幹細胞移植は以下の3種類の方法で造血幹細胞を採取します。

①骨髄移植

骨髄は腰などの硬い骨の中にあります。骨髄移植は、骨髄から注射器で骨髄液を採取する方法です。

②末梢血幹細胞移植

注射によって末梢血中の造血幹細胞を増やして、血液成分を分離させる機器で造血幹細胞を採取する方法です。

③臍帯血移植

胎盤についている臍帯に残っている血液を採取し、-196℃の液体窒素の中で保存した上で移植時に解凍する方法です。

造血幹細胞移植が必要になる病気

造血幹細胞移植のためにドナーが必要になる主な病気は以下の2つです。

  • 白血病:血液を作る細胞が異常を起こしてがん化した血液細胞だけが増え、正常な血液が作られなくなる病気
  • 再生不良性貧血:血液を作る細胞機能が下がり、血球成分が極端に少なくなる病気

他にもMDSと呼ばれる骨髄異形成症候群や悪性リンパ腫も移植が必要な病気です。

骨髄ドナーとしての移植手術は医療保険の対象?

移植を必要としている人に、骨髄ドナーとして骨髄を提供する場合は入院手術が必要です。仮に骨髄ドナーとして移植手術を受ける場合は医療保険の給付対象になるのでしょうか。

前提として、日本においては、ドナー側の医療費用はレシピエント(移植を受ける側)から保険点数が引かれるシステムとなっています。そのため、移植に関する医療費用については、ドナー側にはかかりません。ただ、そもそも移植手術をうけることによるリスクや、標準外医療を利用した場合に関しては、その費用に対する保障として、医療保険が利用できる場合があります。

ここでは移植の流れを確認した上で、移植手術に関して、医療保険の給付対象となるものについて解説します。
 

骨髄移植の流れ

患者とドナーの白血球の型が適合している場合は通知が届き、健康状態を確認した上で提供意志の最終確認が行われます。

移植する際は、おおよそ3泊4日程度入院します骨髄採取の1~2日前に入院して健康チェックと説明を受け、当日は全身麻酔で骨髄採取が行われます。手術後は2~3日での退院が一般的です。

骨髄移植手術が医療保険の対象になる場合も

骨髄ドナーとしての骨髄採取手術や移植手術に伴う入院は、医療保険の給付対象になる場合があります。

骨髄ドナーに対する給付として、入院給付金日額の20倍の手術給付金を支払うという商品や、骨髄移植手術に伴う入院に対して入院給付金などを支払うと定める医療保険があります。

ただし、入院や手術の給付金額やその他の支払い条件は保険会社ごとに異なるため注意しましょう。

ドナーに登録するためにはどうすればいい?

先述のように、ドナー登録者の移植率は6割に留まっていることからも、さらに多くの人のドナー登録が必要です。ここからは骨髄ドナーに登録するための条件や登録手続きの流れを解説します。特に、登録の条件は必ず確認しましょう。

ドナー登録できる人の条件

全ての人がドナーとして登録できるわけではなく、ドナー登録には以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 骨髄・末梢血幹細胞の提供の内容を十分理解している人
  • 年齢が18歳以上54歳以下で健康な人
  • 体重が男性45kg以上、女性40kg以上の人

なお、上記の条件を満たしていたとしても、持病や既往症によってはドナー登録ができないことがあります。ドナー登録ができない疾患の詳細は以下でご確認ください。

参考:日本骨髄バンク「ドナー登録をご遠慮頂いている疾患や既往歴」

さらに、実際に骨髄を提供する際には家族の同意が必要です。仮に家族の強い反対を受けてドナー意志を撤回すると、患者が適切な治療を受けられない可能性があるため、家族の同意確認が設けられています。

最終同意を終えると提供する意志を撤回できませんので、熟慮した上で判断しましょう。

ドナー登録の流れ

ドナー登録は以下の3つのステップで行います。自宅で簡単に概要を確認でき、登録窓口における手続きも短時間かつ無料で行えるのが特徴です。

STEP1:登録のしおりを確認する

登録に向けて、まずはしおりを確認しましょう。ドナー登録のしおりは「チャンス」と呼ばれ、パソコンやスマートフォンから確認できるWEB版冊子版があります。

しおりには骨髄移植・末梢血幹細胞移植の基礎知識や骨髄採取の具体的な方法が記載されています。しおりをよく読み、内容を十分に理解してから登録手続きを行ってください。

STEP2:登録申込書を記入する

骨髄ドナー登録の概要を理解した上で、登録申込書を記入します。WEB版のしおりを利用する場合は、PDFの登録申込書を印刷しましょう。WEB上で登録を完結できない点は注意が必要です。

冊子版のしおりの場合、最後のページにある登録申込書を利用しましょう。

STEP3:登録窓口に行って採血する

記入した登録申込書を登録窓口・ドナー登録会に持参します。最寄りの受付窓口以外での登録の機会として、全国で登録会が開催されています。全国の登録受付窓口の詳細は以下で確認してください。なお、登録所要時間は約15分です。

参考:日本骨髄バンク「登録受付窓口」

登録時に腕から約2mLを採血して白血球の型を調べます。後日、日本赤十字社から送付される登録確認書は手元で保管しましょう。

登録された白血球の型は、移植を必要としている人のHLA型と定期的に適合検索されます。適合すると通知が届く点を覚えておきましょう。なお、骨髄ドナー登録は無料です。

まとめ:骨髄ドナーとしての手術は医療保険の対象になることも

骨髄ドナーの詳細や、骨髄ドナーとしての骨髄移植手術が医療保険の対象になることがあるという点を解説しました。

骨髄ドナーは骨髄移植を待つ患者の命を救う存在であり、登録も非常に簡単です。骨髄移植時の入院や手術は医療保険の対象になることもあり、ドナー登録を検討している人は医療保険の支払い要件を確認しておくと安心です。

病気で苦しむ患者を救うために、今後も多くのドナー登録が必要です。ドナー登録を検討している人は本記事をぜひ参考にしてください。

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