近年、会社員でも副業を始める人が増えています。中には新たに事業を立ち上げて本格的に副業ビジネスを始めたいと考える人もおり、「会社員と個人事業主を兼ねることはできるのだろうか」と疑問を持つことがあるでしょう。
結論からお伝えすると、会社員も副業で個人事業主になることができます。今回は、会社員として働きながら個人事業主になるメリットやデメリット、開業時の手続きについて詳しく解説します。
「新たに個人事業を立ち上げて本格的に仕事がしたい」と考える人は、本記事を参考にしながら開業を検討してください。
会社員でも副業で個人事業主になることは可能
本業以外の収入源を持つことは今や珍しいことではありません。本格的に副業を始め、時には本業を上回るような収益を生み出している人もいるでしょう。先述の通り、会社員でも新たに事業を立ち上げて個人事業主になることは可能です。
そもそも会社員とは会社に雇用されている立場を意味し、仕事上の責任は原則として会社が負います。一方の個人事業主は会社に雇用されておらず、仕事(事業)での責任は個人が負うことになり、この点が会社員との相違点です。
個人事業主として副業を始める際は開業届の提出が必要です。法人の設立時とは違って登記は不要で、事業を立ち上げる際に手間がかかりません。
なお、勤務先の就業規則次第では個人事業の開業が認められていないことがあります。安易に開業すると勤務先の就業規則違反となる可能性があるため、開業を検討している場合は必ず就業規則を確認しましょう。
会社員として働きながら個人事業主になるメリット・デメリット
個人事業主は自分自身で事業を進めていく必要があるため、ビジネスを営む上でのスキルやノウハウを学ぶには最適です。
スキルの習得に留まらず、税制面などで会社員が個人事業主になるメリットはたくさんあります。しかし、その反面デメリットもあるため、開業するメリットとデメリットの双方をあらかじめめ確認しておかなくてはなりません。
会社員が副業で個人事業主になるメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
会社員が個人事業主になるメリット
会社員が副業で個人事業主になるメリットは以下の通りです。
①起業や独立に向けた足掛かりにできる
個人事業主になると帳簿付けや資金の工面などを自分で行うため、いずれ起業や独立を見据えている場合の予行練習とすることができます。
単に会社員として副業を行うよりも、個人事業主として開業することでモチベーションが高まり、将来ビジネスをさらに大きくしたいと考える際の足掛かりとすることもできるでしょう。
②経費を計上できる
副業を行う上で支払ったお金は、経費として収入から差し引くことができます。税金は収入から経費を差し引いた所得に基づいて算出されるため、経費を計上することで所得を圧縮し、支払う税金を少なくすることが可能です。
計上できる経費の例として、副業で利用するパソコンやタブレット端末の購入代金のほか、書籍代や通信費などがあります。
③青色申告特別控除が使える
開業時に届け出を出しておくことで青色申告特別控除の対象となり、確定申告の際にe-TAXを利用することで最大65万円の特別控除を利用できます。
さらに会社員は給与所得控除の対象で、青色申告特別控除と併用できます。会社員が副業を始める際に個人事業主として開業するメリットは税制面でも非常に大きいことがわかります。
④損益通算ができる
事業を営んでいると、時には赤字になる年があるかもしれません。このとき、個人事業主として届け出をしていると会社員としての給与や賞与と副業における赤字(損失)を相殺できます。これを損益通算といいます。
損益通算を利用すると会社員として支払う所得税等の負担を軽くすることが可能です。
会社員が個人事業主になるデメリット
会社員が個人事業主として副業を始めるにはメリットがある一方で、デメリットもあることを理解しておく必要があります。
①青色申告の手間が増える
先述の通り、個人事業主が青色申告特別控除を利用すると税制面でのメリットがある一方で、青色申告を行う手間が増えるというデメリットが考えられます。
青色申告は白色申告よりも申告方法が細かく定められており、申告には手間や時間がかかります。最近では簡単に青色申告ができる会計ソフトもあり、煩雑な作業負担をできるだけ減らすためにも申告前に詳細を調べておくと良いでしょう。
②失業保険の対象外になることも
一般的に会社員が失業すると失業手当が受給できます。しかし、会社員が個人事業主として開業していると、本業の仕事を失ったとしても無職であるとはいえないため失業手当を受け取ることができない可能性があります。
開業は公的手当の受給可否に関わるため、本当に個人事業主として開業すべきかどうか慎重に検討することが大切です。
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個人事業主になるためには開業届の提出が必要
会社員が副業で個人事業主になるメリット・デメリットを確認した上で、個人事業主としてビジネスを始めたいと考える人もいるでしょう。個人事業を始める際には開業届を提出します。
開業届の詳細や提出方法をそれぞれ確認し、遅延なく開業手続きを行いましょう。
開業届とは
個人事業を開業したことを税務署に届け出るための書類が開業届です。そもそも「開業」とは新たに個人事業を始めることを指し、会社や学校などを立ち上げる際に用いられる「設立」とは意味が異なります。
個人事業を開業する際、本業か副業かは不問です。そのため、会社員が副業で個人事業主となる場合でも開業届が必要です。開業届を税務署に提出すると、以降は確定申告を利用して事業の状況を申告し、納税することが義務付けられます。
開業届の提出について
開業届は新たに事業を始める本人が提出します。開業にあたって必要になる書類の詳細や提出期日を事前に確認しておくことでスムーズに開業できるでしょう。
提出方法
開業届は、納税地を所轄する税務署長に提出するため、税務署に持参するか郵送で提出します。なお、書類提出時の手数料はかかりません。
提出時期
個人事業主の開業届は、事業開始の事実があった日から1ヶ月以内に提出する必要があります。なお、提出期限が土曜日・日曜日・祝日等に該当する場合は、これらの日の翌日が提出期限です。
提出書類
開業時は個人事業の開業・廃業等届出書を提出します。個人事業の開業・廃業等届出書は最寄りの税務署でもらえるほか、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。
国税庁のホームページには、記入時の注意点などが記載されているため、あらかじめ目を通しておくとスムーズに記入できます。
なお、青色申告を申請する場合は開業届とは別に以下の期限までに青色申告承認申請書の提出が必要です。
- 1月15日までに新たに事業を開始した場合:その年の3月15日
- 1月16日以降に新たに事業を開始した場合:事業を開始した日から2ヶ月以内
開業届と青色申告承認申請書それぞれに提出期限があるため、期限内に忘れず提出しましょう。
会社員が個人事業主として副業を始めるならこれ!おすすめ副業3選
個人事業主として開業し、本格的に事業を始めたいという人におすすめの3つの副業を以下で解説します。
いずれの副業も本業と両立やしやすく、事業を広げやすいことが特徴です。自分自身のライフスタイルやスキルを考慮しながら気になる副業を探してみましょう。
①クラウドソーシング
クラウドソーシングとは、不特定の人や群衆を表すcrowd(クラウド)と、業務委託を意味するsourcing(ソーシング)の造語であり、企業や個人が業務を不特定多数の人に委託する形態を指します。
委託したい業務への応募者をクライアントが募り、応募者を選定した上で依頼するのが一般的な流れです。応募者は仕事を選ぶことができるので、自分の得意分野や専門スキルに応じた仕事を請け負うことができます。
主な業務にWEBライターやデザイン、システム開発などがあり、中には未経験者でも受注可能な業務もあります。本業と並行して取り組める仕事を積極的に探してみましょう。
②不動産投資
会社員が個人事業主として副業を始める場合には、初心者でも簡単に始められる不動産投資もおすすめです。
不動産投資は、家賃収入を得て不労所得を作る長期型の資産形成方法です。大家として物件を貸し出し、毎月の家賃で長期的に安定した収入を得ることができます。
不動産投資を始める際は物件の購入資金が必要ですが、家賃収入をローン返済に充てることができるため、自己資金が少なくても副業として始められるのが不動産投資の特徴です。
③ネットショップ運営
ハンドメイド作品や食品、衣類など売りたいものがある人はネットショップの運営を検討すると良いでしょう。
最近では、フリマアプリやオークションアプリに加えて、大手のネットショッピングモールやオリジナルのネットショップへの出店も容易にできるようになり、集客・販売の場はさらに広がっています。
ネットショップは時間や場所を問わず作業することができるので個人事業としてビジネスを展開しやすく、自分のペースで運営を続けることができる点がメリットです。また、ネットショップ運営は仕入れから販売といったビジネスの全てのプロセスを学べるとあって、キャリアアップにも繋がるでしょう。
まとめ:会社員でも個人事業主として副業を始められる!必要に応じて開業を
会社員でも個人事業主として開業し、副業を始めることができます。いずれは起業や独立を見据えている人であれば、個人事業主としてビジネスを始めることでさまざまな経験を積むことができるでしょう。
ただし、会社員としての仕事を失った際には失業保険が受給できない可能性があるなど、開業することによるデメリットも予め確認しておくことが大切です。
本業の傍ら本格的にビジネスを始めたいと考える人は、必要に応じて個人事業主としての開業も検討しましょう。