子育て世帯が利用できる手当や制度をいくつご存知でしょうか。多くの子育て世帯が受給できる児童手当以外にも、子どもの養育や医療費、教育費に関するさまざまな手当や制度があります。
今回の記事では、子育て世帯が利用できる手当や制度について解説します。また、新型コロナウイルス感染症による影響を考慮し、低所得の子育て世帯に支給される特別給付金もご紹介します。
子育て費用の軽減のためにぜひお役立てください。
子どもの養育や医療費に関する手当・制度
子どもの養育にはさまざまな費用が必要です。また、病気やケガで医療機関を受診することも多い子どもは、医療費も決して少額ではありません。
まずは、子どもの養育や医療費に関する以下の手当・制度をひとつずつ解説します。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 児童育成手当(障害手当)
- 子ども医療費助成制度
- 予防接種費用の助成
- 子育て支援パスポート事業
児童手当
児童手当は、子どもの健やかな成長と子育て世帯の負担軽減を目的としている制度です。中学校卒業までの子どもを養育している場合は、毎年2月・6月・10月に以下の児童手当が振り込まれます。
子どもの年齢 | 1人当たりの児童手当月額 |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上小学校修了前 | 10,000円(第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
なお、児童手当には所得制限が設けられており、例えば、児童2人と年収103万円以下の配偶者の場合、所得698万円(収入目安:960万円)を超えると所得制限の対象です。この場合は特例給付として、児童1人当たり月額一律5,000円が支給されます。
また、児童手当を受給する際は、子どもの出生、もしくは転居の翌日から15日以内に申請手続きが必要です。手続きは居住する市区町村の窓口にて行います。
児童扶養手当
離婚などさまざまな事情で、ひとり親家庭で育つ子どももいるでしょう。ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進を目的として、児童扶養手当が支給されます。児童手当とは異なり、18歳(障害児は20歳未満)まで奇数月(年6回)支払われます。
児童扶養手当の金額は前年の所得により決まり、満額支給の全部支給と、一部が支給される一部支給の2種類があります。令和3年4月以降の手当額は以下の通りです。
児童手当月額 | 全部支給 | 一部支給 |
---|---|---|
児童1人につき | 43,160円 | 43,150~10,180円 |
児童2人目(加算額) | 10,190円 | 10,180~5,100円 |
児童3人目以降(加算額) | 6,110円 | 6,100円~3,060円 |
児童扶養手当における所得制限限度額は、2人世帯の場合、全部支給で収入160万円、一部支給で収入365万円です。
障害児福祉手当
20歳未満の心身障害児などを在宅で介護している世帯は、障害児福祉手当を受給することができます。手当額は月額14,800円で2月・5月・8月・11月の年4回支給されます。
障害児福祉手当は受給資格者本人に加え、受給資格者の配偶者および扶養義務者の所得に応じた所得制限が設けられていますので、以下で詳細をご確認ください。
子ども医療費助成制度
子ども医療費助成制度は、子どもにかかる医療費の全額もしくは一部を自治体が助成する制度です。この制度によって、通院・入院時の費用が無料もしくはわずかな自己負担額になります。
ただし、助成内容や助成期間は市区町村ごとに大きく異なり、中には所得制限を設けている自治体もあります。また、子ども医療費助成制度を利用する場合は、居住する市区町村にて申請が必要です。詳細な助成内容を利用前に必ず確認しましょう。
予防接種費用の助成
さまざまな病気を予防し、重症化を防ぐために、乳児は予防接種を受ける必要があります。子どもが受ける予防接種は定期接種と任意接種に分けられ、定期接種は予防接種補助券などの助成があり原則無料です。
また、任意接種も自治体によっては助成を受けられるため、居住する市区町村の窓口で確認すると良いでしょう。
子育て支援パスポート事業
子育て支援パスポート事業とは、自治体の働きかけにより協賛を得た企業や店舗で、子育て世帯に向けた割引や優待サービスを提供する事業です。自治体が発行した子育てパスポートを店頭で提示することによりサービスを利用できます。
子育てパスポートは自治体ごとにデザインや形態が異なり、中にはカードやクーポン券、チラシという自治体もあります。居住する自治体が子育て支援パスポート事業を行っているか確認してみましょう。
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子どもの教育に関する手当・制度
子どもを育てていく上で一番大きな費用は教育費です。保育園・幼稚園から大学進学まで、それぞれまとまったお金が必要になるため、教育費の負担をできるだけ軽減したいと考える保護者も多いでしょう。
教育費の負担軽減を目的として、無償化制度や奨学金などさまざまな手当・制度があります。給付額や所得制限に注意した上で、必要に応じて活用しましょう。
- 幼保無償化制度
- 私立高等学校授業料の実質無償化制度
- 高等教育の修学支援新制度
- 高校生等奨学給付金
幼保無償化制度
2019年10月よりスタートした幼保無償化制度によって、幼稚園や保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳までの全ての子どもの利用料が無料になっています。また、0歳から2歳までの子どものうち、住民税非課税世帯の利用料は無料です。
この制度によって、就学前の教育費や保育費の負担が軽減される一方で、給食費や通園送迎費、行事参加費は無償の対象になりません。そのため、無償化制度とはいえ、一部自己負担が発生することを覚えておきましょう。
私立高等学校授業料の実質無償化制度
学費の負担を理由に私立高校への進学を諦め、公立高校に通う生徒もいるでしょう。全国の約8割の生徒が利用している高等学校等就学支援金によって、公立高校の学費をカバーすることができます。しかし、私立高校は学費の水準が高いため、これまでは支援金と授業料の差額を負担しなければなりませんでした。
令和2年4月より、高等学校等就学支援金の金額が私立高校の授業料と同程度の水準まで引き上げられたことに伴い、私立高校においても授業料が「実質」無償化されました。
この高等学校等就学支援金は年収約910万円未満の世帯が対象です。年収が590万円未満の世帯には最大39万6,000円(私立高校の平均授業料)が支給されます。年収が590万円以上910万円未満の世帯は、公立高校の授業料額である11万8,800円が支給されます。
ただし、授業料が支援金額を超えた場合は、差額は自己負担となり無償にはならない点には注意が必要です。
高等教育の修学支援新制度
経済的な負担を理由に進学を諦めることがないよう、令和2年4月から高等教育の修学支援新制度がスタートしました。この制度は、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校に進学もしくは在籍する学生が対象です。
授業料・入学金の減免と給付型奨学金の支給の2つの支援策をそれぞれ利用することで、大学進学費用を軽減できます。修学支援新制度の利用には、年収や資産条件のほか、所定の学力を有するかどうかといった基準が設けられています。
授業料等減免の上限額(非課税世帯の学生の場合)は以下の通りです。
国公立 | 私立 | |||
---|---|---|---|---|
入学金 | 授業料(年額) | 入学金 | 授業料(年額) | |
大学 | 282,000円 | 535,800円 | 260,000円 | 700,000円 |
短期大学 | 169,200円 | 390,000円 | 250,000円 | 620,000円 |
高等専門学校 | 84,600円 | 234,600円 | 130,000円 | 700,000円 |
専門学校 | 70,000円 | 166,800円 | 160,000円 | 590,000円 |
参考:文部科学省「授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額(PDF)」
また、給付型奨学金は学生生活を送る生活費として、非課税世帯の学生の場合は毎月以下の金額が日本学生支援機構より学生本人の口座に振り込まれます。
国公立 | 私立 | |||
---|---|---|---|---|
自宅生 | 自宅外 | 自宅生 | 自宅外 | |
大学短期大学専門学校 | 29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
高等専門学校 | 17,500円 | 34,200円 | 26,700円 | 43,300円 |
参考:文部科学省「授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額(PDF)」
支援額は国公立か私立かで異なり、給付型奨学金はさらに通学方法によっても差が生じます。毎年、所定の時期に申し込む必要があるため、在学校を通じて忘れず手続きを行いましょう。
高校生等奨学給付金
高校生等奨学給付金は、教科書費やPTA会費、入学学用品費など授業料以外の教育費の負担軽減を目的とした低所得世帯向けの支援制度です。例えば生活保護受給世帯で、全日制の私立高校等に在籍する生徒の場合は年額5万2,600円が支給されます。
国の補助基準が定められているものの、各都道府県で制度の詳細が異なるため詳細は以下でご確認ください。
低所得の子育て世帯向けの特別給付金
新型コロナウイルス感染症による影響を考慮し、生活支援の観点から低所得の子育て世帯向けに特別給付金が支給されます。以下のいずれかの条件を満たす場合、子ども1人当たり一律5万円が支給されます。
- 児童扶養手当受給者等
- 上記以外の令和3年度分の住民税均等割が非課税の子育て世帯
原則として受給申請は不要ですが、直近で収入が減少した世帯等は申請が必要です。受給対象かどうか確認し、給付金を有意義に活用しましょう。
まとめ:子育て世帯向けの手当や制度はたくさんある!積極的に活用しよう
子育て世帯向けの手当や制度について解説しました。子どもにかかる医療費や教育費は決して少額ではなく、さまざまな手当や制度を上手く活用することで経済的な負担を減らすことができます。
ただし、多くの手当や制度には所得制限が設けられているため、各手当や制度の対象者(世帯)であるかどうか事前に確認しておくことが大切です。
各手当や制度の内容を正しく理解し、必要に応じて積極的に活用しましょう。