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税金

サラリーマンの給与から天引きされる税金は、年末調整や確定申告をきちんと行うことで節税できます。節税を考えている人の中には、「サラリーマンでも節税できるの?」「節税の仕組みは?」「具体的な節税方法は?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。

この記事では、サラリーマンができる税金対策について解説します。節税のポイントとなる所得控除のほか、副業や投資するときの節税方法も紹介するので、自分でできる税金対策を見つけましょう。

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会社員が節税する方法とは

会社員が節税する主な方法は次の3つです。それぞれについて解説します。

  1. 「所得控除」を活用して課税所得を減らす
  2. 「税額控除」を活用して税金を安くする
  3. 「副業や投資」をしたとき税金を抑える

①所得控除を活用して課税所得を減らす

所得税や住民税は、給与収入などから各種の所得控除を差し引いた「課税所得」に税率を掛けて計算します。所得控除の額が多ければ課税所得が少なくなるため税金は安くなります。

会社員の人全員に適用される所得控除は次の2つです。

  • 基礎控除:48万円(所得が2,400万円以下の場合)
  • 給与所得控除:給与収入によって55万円~195万円

基礎控除や後述する「各種所得控除」は、すべての所得合計から差し引いて課税所得を計算するときに使用します。一方、給与所得控除は「給与収入」から差し引いて「給与所得」を計算するときに使用します。

所得控除による節税シミュレーション

所得控除には、配偶者控除や社会保険料控除、生命保険料控除などたくさんの種類があります。所得控除によってどれだけ節税になるかをモデルケースを使ってシミュレーションしてみます。

【モデルケース】

  • 会社員Aと会社員Bの給与収入はともに500万円、その他の収入なし
  • 会社員Aの所得控除の合計は80万円、会社員Bは150万円

モデルケースの課税所得は、給与収入から基礎控除(48万円)と給与所得控除(144万円)、所得控除を差し引いて次の通り計算します。

  • 会社員Aの課税所得=500万円-48万円-144万円-80万円=228万円
  • 会社員Bの課税所得=500万円-48万円-144万円-150万円=158万円

会社員Aと会社員Bの所得税は次の通りです。所得税の計算方法は、国税庁のWebページを参考にして下さい。

  • 会社員Aの所得税=228万円×10%-9万7,500円=13万500円
  • 会社員Bの所得税=158万円×5%=7万9,000円

モデルケースでは、給与収入が同じでも、所得控除額が70万円多くなると所得税は約5万円も安くなります。また、所得控除額が多いと、所得税だけでなく住民税も安くなります

②税額控除を活用して税金を安くする

税額控除とは、節税シミュレーションで計算した所得税額から一定金額を差し引いて税金を下げる仕組み、または差し引ける金額のことです。計算式で表すと次の通りです。

所得税額=課税所得×所得税率-税額控除

一般的に住宅ローン減税と呼ばれる「住宅借入金等特別控除」などが該当します。

③副業や投資をしたときの節税

会社員の税金対策には、所得控除や税額控除以外の方法もいろいろとあります。

副業収入に対する税金を抑える方法や不動産投資によって税金を下げる方法などを、後で詳しく説明します。

所得控除を活用した具体的な節税方法

所得控除を活用した主な節税方法を具体的に解説します。所得控除により課税所得を抑え、税金を安くできます。

節税方法①:配偶者控除や扶養者控除を漏れなく申告する

一定の条件を満たした配偶者や扶養親族がいると所得控除が受けられます。所得控除が受けられる配偶者や扶養親族は次の通りです。()内は控除額です。

  • 配偶者控除(38万円※):所得が48万円以下の配偶者
  • 配偶者特別控除(3~38万円※):所得が48万円超~133万円以下の配偶者
  • 扶養控除(38~63万円):16歳以上の扶養親族

※本人の所得が900万円以下の場合の控除額です。所得1,000万円超の人は所得控除できません。

配偶者のパート収入が103万円以下の場合、給与所得控除55万円を差し引いて所得が48万円以下になるため、配偶者控除が受けられます。申告しないと所得控除されないため、対象となる配偶者や扶養親族は漏れなく申告しましょう。

節税方法②:社会保険料は全額所得控除できる

社会保険料とは、健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料のことです。自分が支払った社会保険料は全額所得控除できます。

給与天引きされた社会保険料だけでなく、子どもの国民年金保険料を支払った場合なども所得控除できるので覚えておきましょう。

節税方法③:iDeCoを活用する

老後資金の準備を目的としたiDeCo(個人型確定拠出年金)の活用は、節税にも役立ちます。iDeCoの掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象で掛け金全額が所得控除できます

運用益が非課税、受け取る一時金や年金にかかる税金が安くなるなど、節税効果の大きな資産運用方法と言えるでしょう。

節税方法④:生命保険料と地震保険料を忘れずに申告する

生命保険や地震保険に加入している人は、支払った保険料の一部を所得控除できます。生命保険料控除の控除額は最大12万円、地震保険料控除は最大5万円です。

生命保険料控除額は、加入した時期や保険種類によって異なります。詳しく知りたい人は次の記事を参照下さい。

節税方法⑤:災害や盗難にあったときは雑損控除を活用する

雑損控除とは、自然災害や盗難などによって生活に必要な資産に損害を受けた場合に適用される所得控除です。

控除額は、次のいずれか多い方の金額です。ただし、保険金が支払われた場合は、保険金額分は差し引かれます

  • (損害金額+災害等関連支出の金額)-(所得金額)×10%
  • (災害関連支出の金額)-5万円

節税方法⑥:医療費控除は家族分をまとめて申告する

医療費控除については、1年間に支払った医療費(病院の診療費や薬代など)のうち10万円を超える部分が所得控除(上限200万円)されます。ただし、年収が約300万円未満の会社員の方の場合、10万円以下でも医療費控除を受けられる可能性があります。詳細は下記の記事もご確認ください。

家族の医療費も対象となるため、家族分をまとめて申告するのがおすすめです。一般的に、家族がそれぞれ申告するより節税になります。

薬局などで医薬品の購入が多い人は、セルフメディケーション税制(※)も検討してみましょう。ただし、医療費控除と併用はできず、所得控除額も上限8万8,000円と少なくなります。

※1年間に支払った特定一般用医薬品の購入額から1万2,000円を差し引いた金額が所得控除できる制度です。

節税方法⑦:ふるさと納税(寄附金控除)を活用する

利用の増えているふるさと納税は、返礼品がもらえるだけでなく節税にもなります。所得税を計算するとき、ふるさと納税の寄附金額から2,000円を差し引いた金額が所得控除(寄附金控除)できます。

住民税については、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が税額控除(住民税が安くなる)できます。但し、所得の少ない人は節税にならないケースもありますので、下記の記事もご確認ください。

節税方法⑧:特定支出控除(給与所得からの控除)を活用する

特定支出控除の特例とは、会社が従業員の自己負担経費と認めた支出が一定金額を超えた場合に適用される所得控除です。給与所得者が支払った転勤に伴う転居費や仕事に必要な資格取得費・図書費・衣服費などの費用が対象です。

控除額は、給与所得控除額(給与収入によって55万円~195万円)の2分の1を超える額です。

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税額控除を活用した具体的な節税方法

税額控除を活用した主な節税方法を具体的に解説します。所得控除が課税所得を抑えるのに対し、税額控除は税額自体を安くできます。

節税方法⑨:住宅ローン減税を活用する

一般的に「住宅ローン減税」と言われるのは、マイホームを新築したり増改築したりしたときなどに適用される「住宅借入金等特別控除」という税額控除のことです。住宅ローンの年末残高の一定割合が、所得税から控除されます。

住宅ローン減税は期間限定で実施され、期限を迎えると内容を見直して延長されています。そのため、新築時期や住宅の区分(認定長期優良住宅や認定低炭素住宅など)によって控除額や控除期間などが異なります

節税方法⑩:政党や認定NPO法人などへの寄附も申告する

所定の要件を満たせば、政党や認定NPO法人、公益社団法人などへの寄附金も一定額が税額控除(寄附金特別控除)できます。前述の寄附金控除は所得控除の1つですが、寄附金特別控除は税額控除です。

政党などへの寄附金は、寄附金控除の適用を受けるか、寄附金特別控除の適用を受けるか、有利な方を選択できます。

副業や投資をしたときの具体的な節税方法

副業や投資をしたときの主な節税方法を具体的に解説します。

節税方法⑪:副業収入が少額なら20万円以下に抑える

会社員が副業すると、副業収入に対しても税金がかかります。ただし、給与所得以外の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。つまり、副業の所得が20万円以下で所得税が源泉徴収されていなければ、所得税はかかりません。

副業収入があまり多くない場合、所得を20万円以下に抑えることによって節税できる場合もあります。

節税方法⑫:副業収入が高額なら開業して青色申告する

副業収入が高額になる場合、開業して青色申告することによって節税が可能です。

税務署に開業届を提出し青色申告の承認申請をするなど手続きが必要ですが、最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられます。青色申告には、経費で落とせる費用が多いなどのメリットもあります。

節税方法⑬:不動産投資を活用する

不動産投資を活用することで、節税できる場合もあります。不動産投資による赤字を給与所得と損益通算(給与所得から赤字分を差し引く)することで、課税所得を下げられるからです。

不動産投資では、毎月の収支(キャッシュフロー)が黒字でも、建物の減価償却により不動産経営が赤字になるケースがあります。支出を伴わない減価償却を活用して節税します。

不動産投資は高所得者におすすめ

不動産投資は、所得税をたくさん払っている高所得者におすすめです。一般的に、所得税率が高い高所得者ほど節税効果が大きく、不動産投資に伴うリスク許容度も高いからです。

ただし、投資収益を十分に考慮せず節税することばかり考えて不動産投資すると、却って損をすることもあるので注意しましょう。

節税方法⑭:NISAの非課税枠を活用する(運用益が非課税)

NISAとは少額投資非課税制度のことで、運用益が非課税であるため普通に投資するより節税できます。NISAには、18才以上の人を対象にした「一般NISA」「つみたてNISA」、18才未満の人が対象の「ジュニアNISA」の3種類があります。

種類によって、年間の非課税枠や非課税期間などが異なります。また、2024年からは制度内容が大きく変わります。現在の制度内容や改正について詳しく知りたい人は、次の記事を参照して下さい。

節税方法⑮:株式投資に失敗したときの対策(損失の繰越し)

株式投資で失敗して損失(譲渡損失)が出た場合、ほかの株式投資で得た利益があれば損益通算(利益から損失を差し引くこと)ができます。

損益通算しても差し引くことのできない損失額は、翌年から3年間にわたって損益通算(繰越控除)できます。損失を繰り越すことで、翌年以降3年間に株式投資等で利益が出たときは節税可能です。

節税するには年末調整や確定申告が必要

所得控除や税額控除などを活用して節税するには、年末調整や確定申告で正しく申告する必要があります。

年末調整を正しく行う

会社員が年末調整で申告できる所得控除などは次の通りです。

  1. 配偶者控除や扶養者控除(節税方法①)
  2. 社会保険料控除(②)
  3. 小規模企業共済等掛金控除(③:iDeCo)
  4. 生命保険料控除や地震保険料控除(④)
  5. 住宅借入金等特別控除(⑨:住宅ローン減税の2年目以降の申告)

年末調整書類を提出すると、勤務先が正しい所得税を再計算して税務署に報告するとともに従業員宛に源泉徴収票を発行します。確定申告する所得控除などがなければ、1年間の収入や所得、源泉徴収額が確定します。

申告書の様式や記入方法などは、国税庁のホームページで確認できます。なお、給与収入2,000万円以上の人は年末調整の対照とならないため、上記の所得控除などを申告する場合でも確定申告が必要です。

必要に応じて確定申告する

年末調整で申告できないため確定申告が必要な所得控除などは次の通りです。

  1. 雑損控除(節税方法⑤:災害や盗難にあったとき)
  2. 医療費控除(⑥)
  3. 寄附金控除(⑦:ふるさと納税)
  4. 特定支出控除(⑧)
  5. 住宅借入金等特別控除(⑨:住宅ローン減税の初回の申告)
  6. 寄附金特別控除(⑩:政党や認定NPO法人などへの寄附)
  7. 青色申告特別控除(⑫)
  8. 不動産投資の赤字と給与所得の損益通算(⑬不動産投資)
  9. 譲渡損失の繰越控除(⑮:株式投資に失敗したとき)

上記の所得控除などを受ける場合や副業の所得などが20万円以上ある場合は、確定申告が必要です。確定申告書の提出期間は、申告年度の翌年2月16日から同年3月15日までが一般的です。

パソコンやスマートフォンを使って申告書の作成や電子申請ができるので国税庁のホームページなどで確認してみましょう。

ふるさと納税は「ワンストップ特例制度」が便利

ふるさと納税で寄附金控除を受けるには確定申告が必要であると解説しましたが、ふるさと納税を行うときに寄附した自治体に「ワンストップ特例申請書」を提出すれば確定申告は不要です。

「ワンストップ特例制度」の対象となるのは、寄附金控除以外に確定申告する必要のない給与所得者であることふるさと納税先が5件以内であることです。

参考:国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」

まとめ:会社員の節税は所得税の仕組みを理解し漏れなく申告することから

所得控除により課税所得が減少し、税額控除により税額が安くなります。控除項目が多岐にわたり難しいと感じる人もいるかも知れませんが、本記事を参考に所得税の仕組みを大雑把にでも理解しましょう

所得控除や税額控除をすべて合わせると、毎年大きな節税効果が期待できます。会社員の節税は、各種の控除を漏れなく申告することから始めましょう

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